世帯数減で「一家に一台」車やテレビ消費ブレーキ 4.1兆円の消費減、訪日客頼み加速
■「シェア」新たな商機 東京都立大の室田信一准教授
世帯数減少で自動車や大型家電の消費減は避けられない。一方で、かつては友人関係や家族の中で獲得できた他者との交流や、身元の保障など社会生活に不可欠な要素が市場を介して提供されるようになっている。モノやサービスを不特定多数で共有する「シェアリングエコノミー」などの分野は新たな商機となる。
共同住宅に住人同士の交流スペースがある「ソーシャルアパートメント」も一例で、一人暮らしの若者に人気が高い。単身の高齢者向けの身元保障、依頼者の死後の葬儀や行政手続きといった事務処理の支援を提供する企業も増えている。
ただ、社会生活に不可欠な要素が商品化されることは、経済的な格差がその人の豊かな人生の過ごし方や安心した老後生活、さらには死の迎え方に影響を及ぼすリスクもはらんでいる。
政府は社会の孤独・孤立対策を進めているが、企業と市民団体などが協力して、世帯が減少していく社会に立ち向かう強いコミュニティーを形成するための取り組みも増えており、この点は注目する必要がある。