世帯数減で「一家に一台」車やテレビ消費ブレーキ 4.1兆円の消費減、訪日客頼み加速
荒木氏の試算では、関西では20年からの20年間で消費が10%減少し、年平均で0・5%の減少となり、関西経済の名目域内総生産(GRP)に0・2ポイントの低下圧力がかかり続けるとする。
世帯数減少による消費減を補う要素として期待がかかるのがインバウンド需要だ。政府は30年のインバウンド消費を15兆円とみており、りそな総研は関西では4・7兆円規模を見込む。関西のインバウンド消費は3・5兆円増となり、世帯数減少による消費減を上回ることになる。
ただ荒木氏は「インバウンド市場の成長もいずれは鈍化が予想される」と分析。世帯数減少による消費減に対し、行政や企業による積極的な対策が求められる。
■「おひとりさま」市場は拡大
世帯数の減少で自動車や大型家電の消費落ち込みが予想される一方、単独世帯の増加で「おひとりさま」といわれる単身者向けの商品やサービスの需要は拡大が見込まれている。民間の調査では、外食などの市場が高い成長力を示している。
国立社会保障・人口問題研究所が12日に発表した都道府県別世帯数の将来推計では、2050年には全世帯に占める一人暮らしの割合が27都道府県で4割を超える。20年と50年の比較では、世帯総数は310万世帯減って5261万世帯となる一方、一人暮らしは215万世帯増えて2330万世帯となる。
矢野経済研究所が20年に実施した調査では、国内のおひとりさま関連市場は、外食やホテル、カラオケ、人生の最期を見据えて準備する「終活」など15分野のうち12分野で成長がみられた。
18年度の市場で金額規模が大きかったのは、外食が7兆9133億円(前年度比3・6%増)、弁当や総菜の購入などの「中食」が7兆4千億円(同2・8%増)。1人での利用が急増しているカラオケは同21・6%の450億円と顕著な伸びをみせた。
同研究所はおひとりさま市場の展望について、晩婚化や非婚化による単身者の増加、高齢化による単身世帯の増加でさらに成長が期待できるとみる。また、あらゆる業界で1人利用を対象としたサービスや、1人でも同じ趣味の仲間て過ごせるサービスが増えているとし、「1人で消費、行動する傾向が高まっているため、おひとりさま市場は今後も拡大していく」と指摘している。(井上浩平)