オンラインコマースの王者 Amazon 。実は顧客の平均消費額はウォルマート以下
王者Amazonにウォルマートは追いつけるのか?
もちろんオンラインショッピングにおいて、依然としてAmazonが王者であるということには変わりない。Amazonプライムの会員数は推定1億8000万人で、ウォルマート+の推定会員数の5900万人を凌駕している。 ウォルマートの全世界におけるeコマース売上高は2023年に初めて1000億ドル(約15兆7000億円)を突破した。これはウォルマートがAmazonに迫っていることを示すものの、eコマース大手であるAmazonのオンラインビジネスの純売上は昨年の時点ですでに2310億ドル(約36兆3000億円)を超えている。 しかしウォルマートがAmazonのプレイブックから学べば学ぶほど、ウォルマートは最大の競合他社であるAmazonから市場シェアを奪いとっていく。ウォルマートの会員専用サブスクリプションサービスからストリーミングや広告参入に至るまで、このチェーンストアがAmazonに競合するために一致団結して努力してきたことは明白だ。同社がウォルマート+への投資を強化させ続け、その顧客が高い平均消費額を維持するならば、Amazonは厳しい状況に追い込まれるかもしれない。
類似するウォルマートとAmazonの成長戦略
最近のウォルマートとAmazonの成長戦略はよく似ている。両社とも新規会員獲得のためにサブスクリプションサービスを拡充させ、さまざまな特典を設けた。たとえばAmazonは、プライム会員には無料配送以外の特典もあることを消費者に伝えようとしている。Amazonプライムは買い物だけでなく、映画やテレビ番組、音楽などにもアクセスできるエンターテイメントハブでもあるのだ。 一方でウォルマートも同様に、小売以外の分野への展開をめざしている。ウォルマート+の会員はパラマウント+(Paramount+)のストリーミングサービスを追加料金なしで利用できる。また同社は最近テレビメーカーのビジオ(Vizio)を買収したが、これは急成長している広告ビジネス「ウォルマートコネクト(Walmart Connect)」の拡大に役立つだろう。 ウォルマートは2009年に自社のサードパーティーマーケットプレイスの運用を開始した。マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)の昨年9月のレポートによると、現在では約10万の売り手が存在し、18カ月でその規模は倍増したという。マーケットプレイスパルスの別のレポートでは、ウォルマートの売り手の50%以上はAmazonでも販売していることが明かされた。(とはいえこの数字は少なめに見積もられたもので、両社の重複率はさらに高い可能性があり、80%から90%に達するだろうとレポートには注記されている。売り手はAmazonで販売を開始してからウォルマートにも進出する傾向があるからだ。) 最近ウォルマートとAmazonは、超スピード配送サービスもアピールしている。Amazonは4月、2024年の最初の3カ月において全世界のプライム会員に20億点以上の商品を即日または翌日に配達したと発表した。同社は1月には、2023年は米国で40億点以上の商品を即日または翌日に配達したとも発表している。一方でウォルマートは最新の決算発表において、2023年に米国で44億点の商品を即日または翌日に配達し、Amazonを超えたことを発表した。