2024年金商法改正の成立
おわりに
以上概観した金商法改正には、技術的な内容が多く含まれ、規制の詳細が今後明らかとなる政令・内閣府令等に委ねられている部分も少なくない。今回の改正法の施行期日は、原則として、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており(改正法附則1条)、2025年4月1日からの施行が想定される。法改正を受けて投資運用業者の新規参入や非上場株式等を取引するPTSの開設が現実のものとなるのか、TOB・大量保有報告制度の見直しが日本市場におけるM&Aや「物言う株主」の動向にどのような影響を及ぼすのかなど、今後の動向が注目される。 (注1)詳しくは以下の二つのコラム(大崎貞和のPoint of グローバル金融市場)参照。「制度整備が進む非上場株取引市場」(2022年4月22日)、「非上場株のPTS取引が可能に」(2023年7月5日) (注2)詳しくは以下の二つのコラム(大崎貞和のPoint of グローバル金融市場)参照。「動き出すTOB・大量保有報告制度の見直し」(2023年3月30日)、「TOB・大量保有報告制度等WG報告について」(2024年1月11日) (注3)「買付け等」とは、株券等の買付けその他の有償の譲受けをいい、これに類するものとして政令で定めるものを含む(金商法27条の2柱書)。 (注4)飯田秀総『金融商品取引法』新世社(2023)232頁参照。 大崎貞和(野村総合研究所 未来創発センター 主席研究員) --- この記事は、NRIウェブサイトの【大崎貞和のPoint of グローバル金融市場】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
大崎 貞和