「日本人から下に見られても」ミャンマー人経営者がそれでも日本で働く理由と誇り
テテさんの妊娠をきっかけにアメリカへの渡航を諦め、日本で会社を起業し成功するという決意を固めた2人は、居酒屋や焼肉店でのアルバイトを掛け持ちしながら、時には「東京で生活するミャンマー人は重いお米を自宅まで運ぶのに苦労している」と感じるとお米の配送サービスを提供するなど、小規模な事業にも積極的に取り組み、少しずつ資金を貯めていきました。 ■本国の一時の景気に沸いたものの… 2014年に中古車販売・輸出会社に就職し、そのノウハウを得たボボさんは、2017年に独立を決意。ミャンマーへの中古車輸出を目的とした貿易会社、株式会社 Z&H(ゼットアンドエイチ)を設立しました。
たまたま紹介された東京・板橋の事務所を借りることになりましたが、その近くにはミャンマーのお寺があり、多くのミャンマー人が集まる場所でした。 そのため、友人たちから「事務所だけではもったいない。何か商売を始めたら?」とアドバイスを受け、貿易会社のために借りた店舗でミャンマー食材店を開業することになりました。 ミャンマー国内では、2015年の総選挙でアウンサンスーチー政権が誕生しました。長年続いた軍支配に終止符が打たれ、初めて政権交代が実現したことで、国内は空前の海外投資ブームに沸き立ちました。このブームを背景に、ミャンマー経済は好景気を迎え、日本に渡航するミャンマー人も増加しました。
その流れを受け、「このタイミングで新たなビジネスチャンスがある」と感じた2人は、2018年にミャンマー人向けの日本国内インバウンド旅行手配事業を開始します。 テテさんは「国内旅行業務取扱管理者」の資格を取得。ミャンマー人に特化した細やかなサービスを提供したことで評判が広がり、現在では、ミャンマーから日本を訪れるインバウンド観光旅行の手配に加え、日本に住むミャンマー人向けにタイ、シンガポール、マレーシアへのツアーも企画・手配しています。