価格転嫁は進んでいる? できている企業は過去最高の44.9%、できない企業は1割超え
サプライチェーン別の価格転嫁動向としては、前回調査と比べ改善幅は小さいものの全体的にやや価格転嫁が進展した。価格転嫁率が2割台にとどまっていた「運輸・倉庫」は34.9%と3割台に達した。「物流の2024年問題の後押しもあり、取引先との交渉がスムーズにいくことが多い」といった声もあり2024年問題への対応が価格転嫁の追い風となったようだ。
一方で、「飲食店」(36.0%)や「飲食料品小売」(40.9%)は前回調査から転嫁率が後退。「ある程度の値上げは消費者も理解してくれるが、あまりにも価格が上がると来店率が下がると思いなかなか値上げに踏み切れない」など、客離れを危惧して転嫁が難しいといった声もあった。業種間で価格転嫁に格差が広がりつつあるようだ。 価格転嫁に対する理解は浸透し進展はしているものの、原材料価格の高止まりや人件費の高騰、同業他社の動向、消費者の節約志向もあり「これ以上の価格転嫁は厳しい」といった声も多かったという。進み出した価格転嫁が頭打ちになる可能性もありそうだ。 調査結果を踏まえTDBでは「政府の価格転嫁に対する支援は一定の成果があがっているようだが、現状打破には、原材料の安定供給に向けた政策や賃上げの支援を継続しつつ、購買意欲を刺激する大規模な減税など収入の増加につながる多角的な経済施策が必須」と指摘している。