価格転嫁は進んでいる? できている企業は過去最高の44.9%、できない企業は1割超え
帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は過去最高の44.9%となった。一方で「全く価格転嫁できない」企業の割合は1割を超えている。
価格転嫁率とは、コストが100円上昇した場合に販売価格に反映できている割合を示す指標。2024年2月に実施した前回調査(40.6%)より4.3円転嫁が進んだものの、100円のコスト増に対し44.9円しか価格転嫁ができておらず、依然として5割強のコストを企業が負担する状態が続いている。 企業からは、「価格高騰がユーザー目線でも一般化し、価格転嫁が進んでいる」「原材料価格の高騰に対して、販売先と認識を共有できている場合は、価格転嫁しやすい」など、値上げに対する社会全体の受け入れや取引先の理解が価格転嫁を多少なりとも進展させたようだ。 自社の主な商品・サービスで、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかと聞いたところ、コスト上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」は78.4%だった。
その内訳は「5割以上8割未満」が20.2%で最多。「2割未満」(19.6%)、「2割以上5割未満」(18.6%)、「8割以上」(15.5%)と続いた。「10割すべて転嫁できている」企業は4.6%にとどまった。
一方、「全く価格転嫁できない」は10.9%。前回調査からは1.8ポイント減少したものの、価格転嫁が全くできていない企業が依然として1割を超えている。価格転嫁できていない企業からは「厳しい競争環境があり、コストを転嫁すれば顧客を失ってしまう」という声があがっている。 業種別に見ると、価格転嫁率が高いのは「化学品卸売」(65.0%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(63.0%)などで6割を超えた。 一方、価格転嫁率が低い業種としては一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(19.8%)が2割を下回ったほか、「娯楽サービス」(21.7%)、「金融」(25.8%)、「農・林・水産」(27.3%)などが低水準となった。