【楽天のリテールメディア戦略】出店者広告市場のシェア50%超 メーカーには認知・購買・分析を一気通貫支援
「アカウントイノベーションオフィス」で大手メーカーの販促支援
楽天が2019年に立ち上げた、大手メーカーの販促を支援する「アカウントイノベーションオフィス」の取り組みについても紹介した。楽天は「中小企業、店舗、ブランド、そして社会をエンパワーメントする」というミッションを掲げており、「アカウントイノベーションオフィス」はこのブランドを販促面で支援する役割だ。 アカウントイノベーションオフィス ジェネラルマネージャーの堀川直裕氏は、「ECがお買い物手段として発展していく中で、一般的に流通している商品もECで販売されるようになった。楽天グループが中小企業や店舗をエンパワーメントしていくことに変わりはないが、一般的に流通する商品の作り手である大手メーカーさまもしっかりとサポートしていく必要があると考え、『アカウントイノベーションオフィス』を立ち上げた」と話す。 「楽天市場」のようなECプラットフォームを効果的に活用しているのは、統計的に外資系企業の方が多いという。国内メーカーはまだまだ組織的に力を入れられていない企業が多く、今後、その活用の伸びしろは大きい。 メーカー向けに多様な販促メニューを要しているが、特に好評を得ているのがフルファネルのマーケティングを支援する「Brand Gateway」だという。 堀川氏は、「『Brand Gateway』はメーカーさまが自社で構えているブランドサイトや自社サービスを『楽天市場』の中に構えることができるサービスだ。『楽天市場』ならではの豊富な会員数を生かし、購買デーを生かし、見込み客の選定から集客、商品理解の醸成、購入促進、リピーター化まで一気通貫で仕掛けができる。最短1カ月間からスポットで実施でき、季節商戦などの支援も可能だ」と話す。 メーカーが自社でプロモーションを行い、ブランドコンテンツを用いて態度変容を促したとしても、ユーザーは購入先を検討しているうちに離脱してしまう可能性がある。楽天であれば、一気通貫で施策や分析ができるため、離脱のリスクを減らすことができる。 ユーザーにアクションを促す際に、利用者数の多い「楽天ポイント」を効果的に活用できる。楽天IDで顧客をチャネル横断的に分析でき、効果的なマーケティング施策の提案も可能だという。 <資生堂やレゴジャパンも「Brand Gateway」で成果> 資生堂は「楽天市場」内にエイジングケアブランド「ELIXIR」のページを設置し、新商品の認知理解を促進した。サンプリングで事前にリードを獲得し、クーポン配布などを展開。商品発売時に一気に購入を促すことで垂直立ち上げに成功した。 堀川氏は、「楽天ではこのような販促に成功すると、商品がランキングに入り、顧客がどんどん広がっていく」と話す。 レゴジャパンは「楽天市場」のメディア的な特性を効果的に活用している。 堀川氏は「『レゴ』というキーワードをGoogle内で検索するユーザー数はなかなか増えない。『楽天市場』の中にはお子さまへのギフトを購入したいユーザーがたくさんいる。そういったユーザーがギフトを探す時に『レゴ』を想起できるようにブランドページを構えている」と話す。 レゴジャパンはブランドページ内で遊び方やキャンペーンの情報を発信している。簡便性の高い商品検索機能も用意し、ギフトなどで子ども向けの商品を探しているユーザーに購買を喚起し、最終的に選ばれるように仕掛けをしている。 レゴジャパンは「楽天市場」のみならず、「Rakuten Girls Award」にブース出展したり、「楽天イーグルス」に協賛してスタジアムでイベントを開催したりすることで、オフラインの接点創出においても楽天と取り組んでいる。 楽天は今後もリテールメディアの取り組みを強化し、出店者や大手メーカーの販促効果の最大化を目指す。
日本ネット経済新聞