「東海道五十三次」完成400周年―“箱根発” 歌川広重の55の名画と旅する東海道
江戸の琳派に京都の応挙、若冲も登場
本展では、『東海道五十三次』全55図のほかにも、江戸や京都の画家・作家を中心に、東海道にちなんだ名作を多数展示している。 琳派(りんぱ)のスター・尾形光琳(こうりん)の実弟・尾形乾山(けんざん)の焼き物、江戸琳派の酒井抱一(ほういつ)と弟子の鈴木其一(きいつ)、京都の人気絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)や円山応挙など華やかな顔ぶれがそろう。 さらに館内には、近代日本画壇の巨匠・横山大観の縦約1メートル、横約9メートルに及ぶ水墨画「霊峰一文字」も特別展示。湧き起こる黒雲の中から姿を現した霊峰富士の雄姿を堪能できる。 まさに「東海道で旅気分」―今年の夏は箱根の山中で、江戸時代の旅風情をたっぷりと味わいたい。 ※『東海道五十三次』全55枚は、前期(6月9日~9月12日)・後期(9月13日~12月8日)に分けて展示(展示していない作品は複製画を展示)。7月27日には岡田美術館の小林忠館長が「北斎と広重」と題し、10月5日には稲墻朋子学芸員が「絵を読む楽しみ―ガイド本としての『東海道五十三次』」と題して講演会を開催。
【参考文献】
・『箱根で巡る 広重「東海道五十三次」の旅』(岡田美術館) ・『北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦』(東京美術) ・『東海道五拾三次 描かれた人々の「声」を聴く』(NHK出版)
【Profile】
天野 久樹(ニッポンドットコム) ライター(ルポルタージュ、スポーツ、紀行など)、翻訳家。ニッポンドットコム編集部エディター。1961年秋田市生まれ。早稲田大学政治経済学部、イタリア国立ペルージャ外国人大学イタリア語・イタリア文化プロモーション学科卒業。毎日新聞で約20年間、スポーツ記者(大相撲・アマ野球・モータースポーツ担当)などを務める。著書に『浜松オートバイ物語』(郷土出版社/1993年)、訳書に『アイルトン・セナ 確信犯』(三栄書房/2015年)。