「 水素 燃料船 」未来の“船”になるのか!? 究極のクリーンエネルギー「水素」で動く船。国内初、船舶検査に合格した「らいちょうN」に試乗
水素燃料船はどれくらい走れるの?
大出教授に聞いたところ、この「らいちょうN」はゆっくり走れば燃料の交換なしで5~6時間は走るという。EV車5台分のリチウムイオン電池約150kWh、30kWの出力を持つ燃料電池と水素21Nm3(1.9kg)を積んでいる。 水素をたくさん積めばもっと走れるが、問題は「水素」が高価だということだ。 水素の値段は、「化石燃料の約6倍」という。 リチウムイオン電池が「化石燃料の約6分の1」で充電できるので、ハイブリッドエンジンにすることで「収支がトントンになる」と語ってくれた。
「燃料電池」は「電池」ではなく「発電機」
大出教授が強く教えてくれたのが、「燃料電池」という名前だが、実は「電池」ではないということだ。 「燃料電池っていう言葉に惑わされないほうが良い。あれは発電機」と教授が言うように、「らいちょうN」のようなハイブリッド船は、「EV船に“燃料電池”という発電機を付けたもの」だという。 なぜ「燃料電池」というかといえば、燃料電池は英語で「fuel cell」といい、電池の単位も「cell(セル)」という。直訳したために「電池」と間違えられるようになったそうだ。
水素燃料船「らいちょうN」試乗
第一印象は「とにかく静かで、振動がない」である。電気自動車に乗ったときと同じように、すーっと走り出す。 一般的な内燃機船の場合、スロットルを開けるとゴゴゴゴゴという音と共に、「内燃機が仕事をしてる」という、“いかにも”な振動が伝わってくるが、その“感触”がないのだ。 「静かでしょ」と教授に言われて初めて気が付いたが、声を張らなくても普通の声量で会話ができる。 「船に乗る人からすると、スロットルを開けるとエンジン音が上がって加速する感覚がないのが不満だって言う。“迫力に欠ける”って言うんですよ」と大出教授は笑いながら言うが、確かに「船」というイメージが変わる乗り味だった。 「揺れない」「静か」「化石燃料特有の臭いもない」。 この船は「環境に優しい」ではなく、「人に優しくて環境に優しい」が正解だと思った。
今回、「らいちょうN」が船舶検査に合格したことで、「次に水素燃料船を造ろうという人の指標になる」と語ってくれた。日本の場合、船舶検査に合格するまでが非常に大変だ。 「らいちょうN」で使われている技術を使えば、どの造船所でも「水素燃料電池船」の建造ができるようになる。 「どうやって、燃料を補充するかが今後のテーマ」と大出教授は言うが、今後、環境にやさしい水素燃料電池船が普及していくことが期待される。
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