関東2部からの下剋上 ── 初のインカレベスト4へ躍進を遂げた山梨学院大学(インカレバスケ2024)
鉄壁のディフェンスを誇る白鷗大学に抑えられたエース
準決勝の相手はチャンピオン・白鷗大学。春の選手権でも決勝進出を争い、「自分たちの実力を出し切れれば、白鷗大学を相手にも良い試合ができて勝てるのではないか」と日野は63-74で敗れた7ヶ月前の経験を生かす。山梨学院大学はポイントガード #13 樋渡梨桜とセンター #14 アデバンジョ ブレッシングの1年生が先発を担う。まだあどけない表情の樋渡だが、コート上では肝が据わっていた。5月の選手権でも先発として白鷗大学と対戦したが、「そのときは何もできませんでした。自分がやるという積極性を持って欲しかったです」と林監督はメンタル面から強化する。選手権以来、今シーズン2度目の白鷗大学戦は51-63で敗れたが、1年生たちは成長した姿を見せる。 「白鷗大学のディフェンスが強いことは試合前から分かっていましたが、大事なところでターンオーバーをしてしまいました。でも、コート上の先輩たちがプラスの声かけをしてくれたことで切り替えることもできました」という樋渡は、林監督の期待どおりに14点と活躍。アデバンジョも12リバウンドでチームに貢献する。試合経験を積んできた2部Aブロックと比較し、「ボールマンに対するプレッシャーが全然違いました。プレースタイルも1部は誰が起点となり、ここを狙ってくるという決まった形があります。でも、2部はそれがなかったのでいろんな経験ができました。2部でも通用したプレーは多く、その点では自信になりました」と見劣りしない活躍をした樋渡の今後が楽しみである。 徹底マークされた藤澤は前半で2点、総数12本を放った3ポイントシュートは1本しか決められなかった。「決めるべきシュートが決められず、良い流れを持って来られませんでした。自分が1番そうなんですけど、スリーポイントを決めるべきところで決められなかったのが、勝ち切れなかった原因だと思います」と責任を感じていた。 関東2部の山梨学院大学が全国の舞台で4強入りを果たし、チーム目標を達成できたことが及第点である。しかし、キャプテンの日野はベスト8進出を決めたとき、「リーグ後半にかけて調子が上がり、このインカレでもどんどん上がってきているので優勝を目指してがんばりたいです」と目標の上をすでに見ていた。林監督も「悔しいと言える立場ではないですが、でもチャレンジャーとして戦っていただけに、勝つチャンスもあっただけに、やっぱり悔しいです」と誰も満足していないことが山梨学院大学の伸び代である。