天王星の衛星ミランダに「予想外の内部海」存在か、生命育む可能性が突如浮上
天王星の衛星をめぐる「心躍る奇想天外なストーリー」
■天王星の衛星をめぐる「心躍る奇想天外なストーリー」 ミランダに今も海があるとすると、比較的浅くなっているだろうと、研究チームは考えている。それでも、太陽からこれほど遠く離れたところに海洋天体が存在するという事実は、惑星科学者にとっては衝撃だ。 論文の共同執筆者で、今回の研究に資金を提供した研究プロジェクトの研究責任者を務める米ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所(APL)の惑星科学者トム・ノードハイムは「ミランダのような小天体の内部に海がある証拠が見つかるのは、極めて予想外のことだ」と指摘する。「これは、天王星の衛星には本当に興味深い天体が含まれている可能性がある、すなわち、太陽系で最も遠方にある惑星の1つの周囲に複数の海洋天体が存在する可能性があるという、心躍る奇想天外なストーリーを構築する助けになる」 ミランダに海があると推測されることから、アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロンにも地下海があるかもしれないと、惑星科学者は考えている。 ■NASAの探査計画は? NASAは、天王星とその衛星に探査機を送り込むべきだろうか。結局のところ、ミランダに海があるか、過去にあったとすれば、それは即座に生命存在可能性と生命の探査対象になる。現時点では、まだ推測の段階だ。ノードハイムは「そこを再び訪れてより多くのデータを収集して初めて、海があることが確実にわかる」として「今回の研究では、ボイジャー2号の画像から、できる限りの科学的情報を絞り出している。今のところ研究チームは、その可能性に心を躍らせており、天王星と海洋を持つ可能性のある衛星を詳細に調査するためにぜひ再訪したいと考えている」と述べている。 2021年に発表された論文では、天王星の衛星28個のうちの5大衛星が海洋天体である可能性があるかどうかを確かめるために、フラッグシップミッション(最優先大型計画)の1つとして天王星の周回探査機を送り込むようNASAに提案している。 もしNASAにその予定があるなら、急ぐ必要がある。地球と木星と天王星の珍しい惑星配置により、稀有な好機が間もなく得られるからだ。このタイミングで探査機を打ち上げると、木星のスイングバイ(惑星の重力による軌道変更と加速)を利用して、天王星までの航行時間を約11年に短縮できるだろう。だが、そのためには打ち上げを2034年までに行う必要がある。
Jamie Carter