天王星の衛星ミランダに「予想外の内部海」存在か、生命育む可能性が突如浮上
天王星を公転している小型の衛星ミランダの氷殻の下に海がある可能性を示唆する最新の研究結果が発表された。38年前に撮影されたアーカイブ画像の解析に基づく研究結果だ。地下海が本当にあるならば、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスなどの太陽系内の他の海洋天体とともに、ミランダにも生命が存在する可能性が浮上する。 【画像】天王星とミランダを含む5大衛星と衛星パック NASAによると、太陽系第7惑星の天王星は、5大衛星のミランダ、アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロンを含む28個の衛星を持っている。衛星はすべて惑星科学の伝統であるギリシャやローマの神話に由来する名前ではなく、英劇作家ウィリアム・シェークスピアや英詩人アレキサンダー・ポープの作品の登場人物にちなんで命名されている。 ミランダは直径が470kmしかないが、太陽系で生命探しをしている宇宙生物学者や惑星科学者の新たな寵児になりそうだ。 ■ほぼ未探査の天王星の衛星 天王星の近接探査はほとんど行われていない。1986年にNASAのボイジャー2号が、太陽系の4つの巨大惑星を巡る「グランドツアー計画」の間に、わずか45時間訪れただけだ。また、ボイジャー2号は天王星の5大衛星の画像も撮影した。 ミランダでは、短時間のフライバイ(接近通過)の際に南半球の画像しか撮影できなかった。この観測では、地球の衛星の月や土星の衛星エンケラドスを思わせる、底部が滑らかなクレーターが点在する古代のクレーター地形が見つかった。 ■潮汐力 学術誌Planetary Science Journalに10月に掲載された今回の最新論文では、ボイジャー2号の画像の再調査に基づき、ミランダの地質学的特徴は、近くにある複数の衛星からの潮汐力に起因すると主張している。地球の潮の干満と同様に、近くの衛星からの引力によってミランダが変形し、摩擦と熱が生じることで、内部が温められる。さらに、氷に覆われた表面にひび割れを生じさせる応力も発生するため、地質学的特徴が複雑に絡み合う地形が形成される。 この結論を導くため、ボイジャー2号が観測した表面の地形を生成するには、ミランダの内部がどのような状態だったと考えられるかを、研究チームは解明した。その結果、最も適合するのは、厚さ約30kmの氷殻の下に水深約100km以上の広大な海が存在する状態だった。 この海は1億~5億年前に存在していたはずで、今もなお存在している可能性もあると、研究チームは述べている。