読む前から気が重い「文章による企画書」の弱点、しつこく説得されることへの「拒否反応」が起こることもある
実際に企画書を使ってプレゼンテーションを行う場合を想定してみましょう。 図解企画書は、企画全体の姿を参加者の目の前に置きながらの論議や評価となりますから、字句の定義や細かいどうでもよい表現などに焦点が当たらず、企画の本質に関する論議が行われやすくなります。話がわき道にそれた場合でも、目の前に図解がありますから直ちに本筋に復帰できる強みがあります。 また、プレゼンテーターの立場からいうと、図解による説明を事前に演習することにより、企画に足りない点、批判されるかもしれない点をチェックできるなど、さまざまなメリットがあります。
ただし、勢いにのっていつでも図解ですべてを表そうとすると、意外な落とし穴があります。企画書は相手のために書くものですから、相手の好み、レベルをよく観察して、そこに合わせなければなりません。 文章を読み書きする文化が中心のところで、いきなり図解のみを使った企画書を出すと拒絶反応が出ることになります。この点は、非常に重要です。相手に合わせながら、ポイントを図解で説明していくのがよいと思います。この例でいうと、「現状」や「ヒント」に相当する部分は文章で書き、「新商品の概要」を図解で説明する、という方法がよいでしょう。
久恒 啓一 :多摩大学名誉教授、宮城大学名誉教授、NPO法人知的生産の技術研究会理事長