茹だる猛暑はビールのお供に枝豆! グローバル化とブランド化が進行中
進む枝豆のブランド化、品種の数は400以上!
かつて枝豆は、ただ枝豆としてそこにあればよかった。が、枝豆にも格差(?)がある現実を教えてくれたのはマンガ『美味しんぼ』ではないか。ふりかえれば30年前、究極vs至高の対決も始まっておらず、栗田ゆう子は初々しく山岡士郎は少々やさぐれていた頃。「ビールと黒い枝豆」の話を読んで、丹波の黒豆が実は枝豆でもあることを初めて知った人は少なくないと思う。 そしていま、「丹波篠山黒大豆」のほかにも青森の「津軽毛豆」、山形の「早生甘露だだちゃ豆」、新潟の「黒埼茶豆」、千葉の「小糸在来」、京都の「黒豆ずきん」、さらに大阪の「八尾枝豆」などなど、各地の土壌や気候に即して栽培される地場ブランドが風味や香りを競い合う。枝豆は青豆、茶豆、黒豆の3種に大別できるが、近年はそれぞれを掛け合わせるなど品種改良も進み、「湯上がり娘」「げんき娘」「恋姫」など新顔も加わって品種の数は400を超える。 収穫適齢期が短く、収穫後の調整にも人手を要するため大規模な生産には向かないとされる枝豆。換言すれば都市近郊の農業に適することから、枝豆のブランド化に精力的に取り組む都市圏の生産者も少なくない。全国屈指の産地である千葉県野田市の「おたふく」、船橋市の「葉つき枝豆」、埼玉県行田市の「在来青大豆」そして練馬の「味太郎」、いずれも農薬や化学肥料の使用を控え、大きく色艶のよいものを選定するため1本1本手作業で収穫するなど、手間暇かけた栽培が特徴だ。 ただし、美味しく枝豆を味わうには、とにかく収穫から時間をおかないこと。枝豆の甘みのモトであるショ糖は収穫後新たにつくられることはなく、枝豆が呼吸するたびに消費される。前述のように「野菜」である枝豆は、鮮度が落ちやすいため気温の低い朝に収穫する。なので、朝採りをすばやく茹でればノーブランドの枝豆も絶品の味わいなのだ(茹でるまで時間をおく場合は必ず低温で保管する)。地場農産品の直売所も増えているから、少しは過ごしやすい朝、野菜の買い出しを習慣にするのも悪くないかもしれない。 枝豆や三寸飛んで口に入る 子規 (文責・武蔵インターナショナル) *大豆そのものは弥生時代前期の宮原遺跡などから出土したものが最古とされる。