履正社前監督が母校・東洋大姫路を率いて3年目で秋の近畿大会制覇…伝統の強打復活で古豪から強豪へ
1977年夏の全国高校野球選手権大会を制した東洋大姫路(兵庫)が、今秋の近畿大会で17年ぶりに優勝し、来春の選抜大会出場を確実にした。率いるのは履正社(大阪)前監督の岡田龍生監督(63)。低迷していた母校を就任3年目で立て直し、「常勝校を目指して、新しい歴史を積み上げていきたい」と話している。
岡田監督は79年の選抜で主将として4強入り。指導者としては87年に当時無名だった履正社の監督となり、2019年夏に全国制覇するなど甲子園に春夏13度(中止の20年春を含む)導き、ヤクルトの山田ら多くのプロ選手も輩出した。
東洋大姫路も春夏20度出場を誇るが、選抜4強入りした08年以降は、甲子園の土を踏んだのは2度。強打が売りのチームはいつしか「古豪」と呼ばれるようになった。岡田監督も「野球に向き合う意識が(履正社とは)まるで違った」と話すように22年春の就任当時は、甲子園を目標に掲げる選手もほとんどいなかった。
平均体重は履正社よりも10キロ軽く、スイングスピードも大きく下回る状態。「東洋大姫路と言えば強打だった。伝統を取り戻したい」と、岡田監督は新設したトレーニング場で体作りから見直すとともに、打撃練習の割合も増やした。
その一方で、練習時間は短くし、効率を重視。自主性を促すため「教えすぎない」という指導理念は貫きつつ、狙い球の絞り方など基礎を丁寧に伝え、100人以上の部員一人ひとりとも対話を重ねてきた。監督のヒントを基に話し合い、課題の解消に努めた選手たち。成果は徐々に表れ、今夏の兵庫大会では11年ぶりに4強入り。近畿大会は4試合で29得点の猛打で頂点に立った。
秋の日本一をかける明治神宮大会に出場し、20日の開幕試合で聖光学院(福島)と対戦する。古豪から強豪へ――。復活の足がかりとしたい。(後藤静華)