中国が想定する「最悪のシナリオ」、国連を中心とする国際秩序が「崩壊」する日
中国を牽制するカード
これは、繰り返しますが中国共産党(北京中央)が最も避けたい事態です。北京中央は、党による統治の正統性と無謬性の低下を回避すべく、軍事侵攻を画策する蓋然性が高まります。世界と日本は、現在の「戦狼外交」の比ではない、中国の圧倒的な粗暴化に直面し、台湾有事のエスカレーションへの対処を強いられます。 日本がシナリオBを望むことは、選択肢としては「あり」です。ただし、新国際秩序には莫大な立ち上げコストがかかり、軍事的にリスキーなので、日本がシナリオBに突き進む決断を実際にする必要は、今はありません。しかし政治的な選択肢としてシナリオBが存在しているのを意識するだけで、中国を牽制するカードになる。その意味で「あり」なのです。
中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)