テスラ・モデル3 詳細データテスト 静粛性と質感は向上 やはり硬めの乗り心地 使い勝手はやや後退
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.4秒 30-50(48-80):1.4秒 40-60(64-97):1.7秒 50-70(80-113):2.0秒 60-80(97-129):2.4秒 70-90(113-145):2.9秒 80-100(129-161):3.6秒 90-110(145-177):4.3秒 100-120(161-193):5.4秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温10℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.6m 50-0マイル/時(80km/h):33.7m 70-0マイル/時(113km/h):46.2m 60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.78秒 ■ライバルの制動距離 BMW i4 M50(2022年) テスト条件:湿潤路面/気温5℃ 30-0マイル/時(48km/h):10.8m 50-0マイル/時(80km/h):30.1m 70-0マイル/時(113km/h):61.4m
結論 ★★★★★★★★☆☆
テスラ・モデル3は、現在においてかなり注目を集めるクルマのひとつであり、今回のテスト結果や魅力的な価格設定を踏まえれば、その魅力は間違いなくこれからも認められ続けると思える。 もっとも安価で低スペックな仕様でさえ、セダンとしての実用性と衝撃的なパフォーマンス、ほどよいハンドリングをあわせ持ち、どのパワートレインでもよくできたオールラウンダーに仕上がっている。大きな期待を集めるBMWノイエクラッセとの比較でも、なかなかいい勝負を見せてくれるのではないだろうか。 ただ、このクルマはパーフェクトではない。デュアルモーター仕様の直線加速はスーパーセダン並みながら、総体的な走りの水準はハイレベルとはいえない。エルゴノミクスにおけるエキセントリックさも、相変わらず気になるところだ。RWDも4WDもリラックスしてツーリングできるシャシーではなく、とくにロングレンジは航続距離の長さが光るだけに残念だ。 それでもモデル3は、日常使いして楽しめるクルマであり、質感の向上でテスラが常に目指してきたプレミアム感も手に入れた。相変わらず独自の尺度で測らざるを得ないところのあるクルマだが、魅力期な選択肢であることは否定できない。 ■担当テスターのアドバイス ◆リチャード・レーン ディスプレイ上でドライブ/リバース/パーキングを選ぶというのは、個人的には背筋がゾッとするものを感じるが、機能的にはしっかり働いてくれる。また、じつは天井部分にもD-N-Rのパネルが隠し気味に据え付けられているが、これを使おうと思わせるほど扱いやすいものではない。 ◆マット・ソーンダース ボディワークの変更はわずかだが、Cd値は0.23から0.22へ向上した。かなりエアフローがいい部類だが、グリースを塗ったウナギのようにヌメっとしたメルセデスのEQSやEQEは、0.20をマークしている。 ■オプション追加のアドバイス われわれとしては、ベーシックなモデル3でも、ほとんどのユーザーにとって十分以上のEVだと思う。テスト車には6800ポンド(約129万円)のフル自動運転対応機能が備わっていたが、これにはまだ法的に制約があることをお忘れなく。 ■改善してほしいポイント ・ステアリングフィールの改善を。これほど速いクルマを、自信を持って走らせるには重要な要素だ。 ・乗り心地はいまだ平均以下。長距離走行に欠かせない快適性を高めるには、ハードウェアの全面的な見直しが必要だ。 ・方向指示器は、コラムレバーに戻してほしい。ついでにワイパーも。
リチャード・レーン(執筆) マット・ソーンダース(執筆) マックス・エドレストン(撮影) 関耕一郎(翻訳)