テスラ・モデル3 詳細データテスト 静粛性と質感は向上 やはり硬めの乗り心地 使い勝手はやや後退
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
テスラ的には、洗練性と快適性の向上は、マイナーチェンジの大きな狙いだったようだ。発表によれば、風切り音は30%、ロードノイズは20%低減し、暗騒音の遮音性は30%高めたという。改良前を思うと、いずれもありがたい話だ。遮音ガラスの採用や空力の改善、サスペンションブッシュの見直しや静粛性に優れたタイヤの採用など、さまざまな修正が図られた結果だが、実際のところ、宣伝どおりになっているだろうか。 われわれの計測では、たしかにその効果が見て取れる。今回の4WDモデルは、5年前に計測したRWDモデルより、全域で静粛性を高めている。その数値はBMW i4とまたくの同等で、以前はライバルより大きかった113km/hでの1dBAを、改良型は削ってきた。 足回りは従来の硬い乗り心地をなめらかなものにしようと、ブッシュのほか、ジオメトリーやホイール、タイヤも見直した。しかし、静粛性とは違って、こちらは改良前後の差があまり感じられなかった。全体的に、スムースとはいえない路面では、しなやかさやバンプの吸収性が平均以下。サスペンションの硬いスプリングはB級道路を楽しめるタイトさをもたらす代わりに、ボディの動きを忙しなくソワソワしたものにしてしまっている。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
2017年の登場時、公称の航続距離はスタンダードレンジが409km、ロングレンジが560kmだった。時を経て、改良版は554~629kmまで伸びた。 では、リアルな数字はどうだろう。高速道路での電費は6.4km/kWhだから、ツーリング可能距離は480km強、平均は6.0km/kWhなので日常使いでは446kmと言ったところだ。ほかを圧倒するほどではないが、この価格帯では上位に位置することに変わりはない。 ナビは、充電量を考慮してテスラのスーパーチャージャーへの案内を含めたルート案内を行う。とはいえ、サードパーティの充電網も使用できるのはモデル3の強みである。 マイナーチェンジモデルの価格は3万9990ポンド(約756万円)からで、ライバルが割高に見える。とはいえ、ボディカラーをブルーやブラックにすれば1300ポンド(約25万円)、19インチホイールは1500ポンド(約28万円)ホワイトインテリアは1100ポンド(約21万円)と、オプション価格が上乗せされる。 注意すべきは6800ポンド(約129万円)のフル自動運転対応だ。英国の法制が許す範囲内でのテストでも、作動は不安定だった。