【毎日書評】よい習慣を身につけるには「脳のGPS」機能が高めるのがポイントだった
よい習慣を身につけたくて何度もチャレンジするものの、なかなか続かないという方は少なくないはず。『習慣は3週間だけ続けなさい』(名郷根 修 著、SBクリエイティブ)はそんな、「なにをやっても長続きしない」と悩む方に向けて書かれたものだそうです。 著者は、のべ1万人に「認知科学に基づくコーチング」をしてきたというエグゼクティブコーチ。ちなみにコーチングについては、「人に目標達成をしてもらうために、行動を起こしてもらうのが仕事」だと記しています。そうしたバックグラウンドをベースとして、本書では「認知科学」と「コーチング理論」の観点から、脳の仕組みに基づく「習慣化メソッド」を明らかにしているのです。 特徴的なのはその考え方。習慣が続くようになるためには、その習慣を定着させることが必要ですが、定着さえしてしまえば、あとは勝手に動くものだというのです。 なぜなら定着とは「続けないと気持ちが悪い状態」「続けないではいられない状態」にすることだからです。(中略) 脳の特性を考えて、まずはあえてゴールを「3週間後」に置いて「定着」を優先することで、その後も習慣が一生続くようにするメソッドなのです。(「はじめに」より) となると、「なぜ3週間なのか」が気になりますが、そこには脳の「GPS機能」が影響しているようです。自動車を運転する際、カーナビに目的地を入力すればGPSが勝手に導いてくれますが、脳にも同じ機能があって、目標まで突き動かしてくれるというのです。そうした脳の「GPS機能」が定着する期間が「3週間」だということ。 基本的な考え方を確認するために、PROLOGUE「なぜ習慣は3週間だけ続ければいいのか?──21日間を目指すと、習慣は一生続く」のなかから「脳の『GPS機能』が働く原理」に注目してみましょう。
原理1 「絶対こうなりたい!」──「外発的動機」が脳のラス機能を働かせる
習慣化を身につけたいとすれば、そこにはなにかしらの理想があるはずです。たとえば、「あの人みたいになりたい」という漠然とした将来像とか。著者によればこれが「外発的動機」と呼ばれるもので、この動機を持つことが、無理なく「GPS機能」を自然に働かせる第一歩となるのだそうです。 たとえば上司が部下になんらかの仕事を手伝ってほしいときなどに、「ノルマを達成したら、ボーナスが10万円多く出ます」という「報酬」を提示したとすれば、すなわちそれが外発的動機だということです。 ただし、「行為そのものが楽しい状態(内発的動機)」で取り組めればベストですが、あまり楽しくないから苦しくなるのも事実。では、どうすればいいのでしょう? 気が向かない行動を習慣化するためには、まずなりたい姿、ありたい姿を外発的動機で明確にして「GPS機能」を働かせることが効果的です。 この際に可能な限り目標は明確にすべきです。 なぜならば、目標を明確に描くことで脳の「GPS機能」(ラス)がそれを重要な情報として認識しやすくなるからです。 ラスは重要な情報に焦点を当てる働きを担っています。 目標が視覚化されれば、脳はそれを重要な情報として認識し、集中しやすくなります。ラスが優先的に処理するきっかけとなるのです。(47ページより) 脳にとって、目標を達成することで得られる報酬や充足感は強力な動機づけになるもの。そして外発的動機には目標達成によって得られる報酬やポジティブな刺激が関連づいているため、ラスは反応することになります。たとえば「ノルマを達成したらボーナスがもらえる」という目標があればそれが刺激になり、習慣化に向けた行動が促されるわけです。(42ページより)