SHAZNA、ラクリマ、マリス、F◇C…番組から生まれた「ヴィジュアル系四天王」偏見の矢面に立たされた彼らの真の実力
■ SHAZNA ヴィジュアル系ブーム&四天王の顔 “SHAZNA現象”と呼ばれたIZAMのビジュアルプロモーション、女性的なルックスのインパクトが世間を賑わせた。IZAM のスタイルはX JAPANのYOSHIKIといった中性的なヴィジュアル系像をアップデートさせたものでもあり、メイクやファッションを含め、女形ヴィジュアル系スタイルを確立させたといって良いだろう。 このSHAZNA現象とメジャーデビューに大きく貢献したのが『Break Out』であり、ヴィジュアル系四天王のイメージとして、そのままSHAZNAとIZAMのビジュアルを思い浮かべる人も多いことだろう。 「Melty Love」メジャーバージョン そんなSHAZNAがインディーズ4枚目のアルバムとして1997年1月にリリースしたのがミニアルバム『Promise Eve』である。メジャーデビューシングルとしてヒットを生んだ「Melty Love」のオリジナルバージョンが収録されている本作は、過去曲のリテイクを含めたインディーズ時代の集大成というべきもの。先入観なしに聴けばロックバンドらしいSHAZNAの姿がわかるはず。「Melty Love」のキャッチーさは言わずもがな、「TOPAZ」のソリッドなバンドサウンドや「Dizziness」の退廃的な空気感、「Cliche's」の硬派なビートなど、ありありとしたロックバンドらしさとその音楽性の広さが詰まっている。 「Melty Love」オリジナルバージョン メジャーデビュー後の一風堂のカバー「すみれSeptember Love」(1997年10月リリース)もポップ性がフォーカスされることは多いのだが、80年代ニューロマンティックを代表する同曲を選んでリバイバルさせた手腕もセンスを感じる部分だ。 ヴィジュアル系のパブリックイメージとなったSHAZNAは、本作しかりロックバンドとしての本質が正当に評価されていない部分があるのも正直なところであり、冒頭で述べたようなヴィジュアル系における偏見の矢面に立たされた存在でもあった。