阪神・高橋遥人の復活に欠かせなかった新井トレーナーの存在 「復帰させられなかったら辞めよう」 二人三脚で病院回り
「阪神4-0広島」(11日、京セラドーム大阪) おかえり-。阪神・高橋遥人投手(28)が1009日ぶりの1軍公式戦登板で、5回4安打無失点、7奪三振の好投で3年ぶりの白星をつかんだ。数々の手術を乗り越え、家族や関係者のサポートに支えられながら戻った1軍の舞台。左腕は何度も感謝の言葉を口にし、スタンドに笑顔の花を咲かせた。 【連続写真】1009日ぶり登板の 帰ってきた遥人 いきなり魅せた初回3奪三振 ◇ ◇ 今年7月に支配下契約を結んだ高橋は、2021年11月に左肘のクリーニング手術、22年4月には左肘のトミー・ジョン手術、昨年6月には左尺骨短縮術と左肩関節鏡視下クリーニング術を受けた。その中で欠かせなかったのは阪神・新井(にい)トレーナーの存在だ。 復活までの道のりで、原因不明だった手術前が一番しんどそうだったという。21年の手術前から高橋は「思い通り投げられない」とぼやいていた。そこから県をまたぎ、たくさんの病院を回る二人三脚が始まった。左尺骨短縮術は投手では復活例がなく、新井トレーナー自身も独自に勉強。「復帰させられなかったら辞めよう」と強い覚悟で向き合った。 弱音を吐くことが減ったと感じたのは、22年8月に結婚してから。さらに4月17日のウエスタン・オリックス戦で復帰登板時には「この辺が限界かもしれない」と吐露していたが、7月13日の広島戦で完投し「もうちょっと良くなるかも」とプラスな言葉で一層前向きな姿を見せた。 それでも高橋は満足していなかったようで、支配下になり、新井トレーナーが握手を求めても「まだなんで」と断られた。「本人が納得してくれたらやっぱ一番うれしい」。寄り添い続けたトレーナーならではの言葉だった。(デイリースポーツ阪神担当・和泉玲香)