コロナ禍を経た写真家の新境地。瀧本幹也個展が開催中
是枝裕和監督の映画の撮影も手がけるなど、幅広い仕事でも注目を集める写真家・瀧本幹也。コロナ禍を機に生み出された2つのシリーズより、インスタレーションや映像作品もふくめた展覧会、瀧本幹也『LUMIÈRE / PRIÈRE』が、東京の代官山ヒルサイドフォーラムで開催中だ。 2020年初頭、パンデミックによって、人々の動きが制限されたように、写真家である瀧本も仕事が軒並みストップしてしまったことはもちろん、従来のように世界各地での制作ができなくなったという。そんなとき、野に咲く菜の花を偶然目にし、季節が巡るたび繰り返し芽吹く小さな植物の命や記憶は、一体どのようにつながってきたのだろうかと思いをめぐらせたという瀧本。その内部に息づく「小宇宙」を探求すべく生まれたのが、シリーズ『LUMIÈRE』(フランス語で「光」)だ。 一方、2020年秋にはKTOTOGRAPHIE 京都国際写真祭に参加し、「円融」(仏語。すべての事物が完全に溶け合い、互いに妨げないこと)という言葉に出会った。人気がなくなり、静寂の中にたたずむ古都の寺社を訪れたときに感じる、過去から現在、そして未来へと脈々と続いてゆく時の流れに自らも連なっていること。その連なりを捉えるべく、寺院を歩いて巡りながら撮影したのがシリーズ『PRIÈRE』(フランス語で「祈り」)である。 本展では、惑星や宇宙、生命に魅了され、表現してきた写真家が、写真を撮る歓びを再認識して生み出した2つの新作が公開。コロナ禍を経て、新たな展開を迎えた瀧本幹也の作品世界にぜひ注目を。 ※掲載情報は12月7日時点のものです。 開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。