八村塁のNBA1年目は成功だったのか
しかし「得点だけじゃなくて、他のリバウンドだったり、アシストだったり、ディフェンスだったり、いろんなところで活躍できるということが今回分かった」と本人が話すように厳しい状況の中でチームをいかに助けることができるかを確信し「もっとスリーを練習していかなきゃいけないなというのも思いました」と振り返ったようにスリーポイントを打つことで、自らにとってもチームにとってもいかに攻撃範囲が広がるかということを実感。来季以降に向けて何が課題かも見えてきた。だからこそ、シーズンを終えた八村の表情は、清々しかったのだろう。 それにしてもNBAでエースになることはなんて大変なことなのだろうか。八村がボールを持つと他の選手をマークしているディフェンダーも横目でチラチラ八村を気にし、八村がドライブすると、あっという間に集まって行く手を阻む。自らのマークマンが八村ではなくても、常に八村を気にしているため、体はマークマンに向いていても、手を伸ばし、隙をついてスティールをしかけてくる。そのレベルが、あまりにも高い。また八村が勢いのある動きでファウルを取ろうとしても、ルーキーが思うようにはファウルコールの笛はなかなか響いてくれなかった。それでリズムに乗り切れず、普段であれば簡単に決められるようなショットを落とすこともあった。 しかし八村が下を向くことはなかった。 今季10年目のベテラン、イシュ・スミスは八村を励まし続けた一人。 「塁は特別なルーキーだ。そして彼は過小評価されているルーキーの一人だと思う」と言うスミスは八村が攻撃でなかなか結果を出せなかった時「塁のシュートはそのうち入るようになる。そして入り出したら恐ろしいことになる。彼には他にも多くの武器があるから、それで試合にインパクトを与えるように言ったんだ。人は塁が得点を入れていないことを指摘するかも知れない。でも僕はそんな人達に知って欲しいんだ。彼はダブルチームから賢明な判断をしていいパスを出すことも出来るし、トランジションでボールを押し進めることだって出来る。自分のショットをクリエイトし、沈めることができる。そして凄くいいディフェンスもするってね。彼はそれらの部分もシーズンを通して向上させてきた。だから自信を持って苦しい時期も乗り越えて欲しい。彼には明るい、輝く未来が待っている。それを分かって欲しかったから僕はたびたび彼に声をかけたんだ」と話した。