なぜ自衛隊でハラスメント続く? 現役幹部自衛官の考察…解決のカギは「指揮」と「統御」のバランス?
一方で、これまでは、命令を強制する「指揮」のみに頼っていても部隊を統率できれば指揮官として優れていると評価される面もあったという。 「特に部下の能力をかえりみずに、部下の能力以上の『正しい命令』を命じる上官は、結果的に部隊を強くするとして評価されることもあった」(同空自幹部) しかし、特に、ハラスメントという認識の広まりによって、このような「指揮」は「ハラスメント」として炙りだされてしまうようになったという。「おそらく『ハラスメント』の数自体はかなり減っている。しかし、ハラスメントと認識されていることは増えている」(同空自幹部) そして、ハラスメントを行った本人は、「指揮」を「適切な指導」だと思いこんでいるから、ハラスメント行為を辞めることができないのではないかと考察する。 「『間違った命令』を間違いだと理解させることはできても、『正しい命令』をやめさせることは難しい。『指揮』と『統御』のバランスがいまこそ求められている」(同空自幹部)
海上自衛隊では、「懲戒処分の概要を部隊に周知することや隊員個人への指導などの継続」、航空自衛隊では「部外講師による監督者などへの講習など、これまで行ってきた対策の強化」を行うなど、陸海空それぞれが対策を講じるとしている。防衛省・自衛隊の模索は続いている。