福岡にある「生徒数が右肩上がり」の高校。その校長が”生徒に意識していること”とは?
少子化にもかかわらず、生徒数が伸び続けている福岡の私立柳川高校。 「絶校長先生」を自称すること古賀賢校長は、学校存続の危機から学校組織、教員、生徒をどう変えていったのでしょうか。その方法や経験を3回にわたって紹介します。 (本稿は『学校を楽しくすれば日本が変わる 「常識」をひっくり返した「絶校長」の教育改革』から一部を抜粋・再構成したものです) ■人は変われると1000%信じている理由 毎年、卒業アルバムに載せている言葉があります。
「卒業生のみんなへ! 人は無限の力をもって、この世に生まれ、無限の可能性をもって、この世に存在しています。 自分の限界を誰が決めているんですか? 自分ではありませんか? 自分ができるか? できないか? 自分で自分のサイズをつくっていませんか?」 私は「人は変われる」と100%、いや1000%信じています。 でも、世の中には「どうせ俺なんて」「どうせ私なんて」と自らもう変われないと思い込んでいる人もいれば、マネジメントする立場なのに「こいつらに何を言っても変わらないよ」と諦めている人もいます。
でも、私は人が変われるかどうかは、誰が隣にいるか次第だと考えています。 ■ノミの実験 思い出すのは、以前、あるプロ野球の監督と食事をしていたときに聞いたこんなエピソードです。 監督のチームでは球団が新球場に移転。以前の球場よりも外野が広く、フェンスも高くなり、なかなかホームランが出なくなりました。 選手たちは「フェンスも高い」「ドームになって追い風が吹かなくなった」とぶつぶつ文句を言っていたと言います。ところが、メジャーリーグから外国人選手がやってきてすぐにホームランを連発し始めました。そしたら、ぶつぶつ言っていた日本人選手も打ち始めたのです。
「古賀くん、これってどういうことだと思う?」 全国の球児たちのトップ中のトップが集まるプロ野球の世界。元々、どの選手にもその新球場でホームランを打てる力があったはずです。 ところが、環境が変わったら誰も柵越えを放てなくなってしまった。 そこで、「打てないね……」とぶつぶつ言い始める。 監督は「これね、ノミの実験の話と同じなんだよ」と言うのです。 ノミの実験の「ノミ」とは、あの自然界にいる小さなノミのこと。