福岡にある「生徒数が右肩上がり」の高校。その校長が”生徒に意識していること”とは?
ノミはすごい脚力を持っていて、人間で言うとマンションの6階の高さまでジャンプすることができます。ところが、そのノミを小さな箱に入れて2日間置いておくと、そこから出しても箱のフタの高さまでしか跳べなくなってしまうのです。 ■子どもたちにとっての小さな箱 2日間、箱の中でぴょんぴょん跳ね、天井にぶつかっているうち、ぶつからない高さまでしか跳ねなくなる。人間に置き換えるとそれは「俺なんて、どうせ」「私なんて、どうせ」となっている状態。そして小さな箱は「あなたにはこれくらいしかできないよ」と押しつけてくる教育や常識のようなものです。
では、その跳べなくなったノミを、箱に入ったことのないノミといっしょにしておくと、どうなるのでしょう? わかりますよね? そうなんです! すぐに人間で言うところの6階の高さまでジャンプできるようになっちゃうのです。 横で自由にぴょんぴょん跳ねているノミを見て、「あれ? 俺もできるかな」「あれ? 私もできるのかも」と跳んでみる。そしたら跳べてしまう。 「ああ、自分もこんなに跳べるんだ」と気づいた瞬間、元の脚力を発揮できるようになるのです。
監督は「うちの選手たちは、外国人選手がホームランを打つのを見て、自分たちの力を思い出したわけ」と言って笑っていました。 監督にとっては食事中の雑談だったのかもしれませんが、私はもうズガーン! と心を撃ち抜かれ、考えました。 学校が、子どもたちにとっての小さな箱になっていないか。 保護者の方々が、子どもたちにとっての小さな箱になっていないか。 教職員が、子どもたちにとっての小さな箱になっていないか。
世の中に溢れる情報が、私たち大人や子どもにとっての小さな箱になっていないか。 ■そこに集まった人たちの何かが始まる学校 柳川高校から、子どもたちが頭をぶつけるような天井は取っ払ってしまおう! 隣を見たら自由に飛び跳ねている仲間がいる場所にしよう! 自分たちが活躍できる場所は、無限に広がっているんだと感じられる刺激をシャワーのように浴びせていこう! 卒業生の中には、卒業後思い切ったキャリアを積み上げている人がいる。自分の得意なこと、情熱を傾けられることを柳川高校で見つけて、仕事や進学の進路を選んだ人がいる。
子どもたちも、大人たちも、そこに集まった人たちの何かが始まる学校。それが「はじまりは! 柳川高校。」です。
古賀 賢 :柳商学園 柳川高等学校 理事長・校長