ル・コルビュジエ設計「美しい街」住民たちの苦難 エリートも住まう「緑豊かな都市」の見えざる敵
■美しい街の見えざる敵「微粒子、花粉、カビの胞子」 気候変動、そして、それによって世界各地で生み出されているより湿潤温暖な天候により、真菌への感作は大きな問題となりつつある。特に南アジア諸国ではそうだ。 こうした気温の急変動は、植物と真菌が繁殖する時期と様式に変化を与えうるものであり、実際に与えている──それが、世界中で増加する呼吸器アレルギーと喘息の患者に大混乱をもたらしている。 そして、シンは将来より良く、より効果的で、より安価な治療法がもたらされるかもしれないという希望を持ってはいるものの、私たちが今まさに歩んでいる道については何の幻想も抱いていない。
彼女の街は美しいかもしれないが、微粒子、花粉、そして増加しつつある真菌の胞子が充満してもいる。その空気の質は、目下のパンデミックにもかかわらず、これからの10年間で改善しそうにはない。彼女は自身のクリニックがこれから持ちこたえられることを願うばかりだ。 (翻訳:坪子理美)
テリーサ・マクフェイル :医療人類学者