主役のはずのトニー・フィナウが61年ぶりに地元開催された大会に出なかったわけとは?
ユタ州で61年ぶりに開催されたブラックデザート選手権はコーンフェリーツアー(下部ツアー)で今季3勝を挙げPGAツアー昇格を果たした26歳のマット・マッカーティがツアー3戦目にしてうれしい初優勝を飾り幕を閉じた。ユタといえば同地で生まれ育ったトニー・フィナウの故郷。しかし地元最大のスターは今大会に出場していなかった。そのワケとは?
ポイントランク23位タイでシーズンを終えたフィナウ。シード権争いがおこなわれるフェデックスカップフォールに出場する必要はないが、地元で61年ぶりのトーナメント開催となると話は別。 ところが彼はブラックデザート選手権にエントリーしなかった。そのワケは長男ジェイレイス君がテキサス州でおこなわれた13歳以下のPGAジュニアリーグ選手権のユタ州代表として出場したから。 PGAツアーでは全盛期のニック・プライスが妻の出産に立ち会うため全米プロゴルフ選手権を欠場し、繰り上がりで出たジョン・デーリーがメジャー初優勝を果たしたり、フィル・ミケルソンが優勝争いの最中「妻が分娩室に入ったらすぐにプレーをやめて駆けつける」と宣言するなど家族を優先するプレーヤーは珍しくない。 フィナウも然り。12歳の息子の晴れ姿を応援するべくユタではなくテキサスに向かいユタチームのアシスタントコーチとして戦況を見守った。 大会初日スポーツ専門チャンネルのESPNがジェイレイス君のチームメイトのエメリー・ジョンソン君がフィールズランチウェストCの5番パー3でホールインワンをマークしたシーンを放映。驚くべきことにティーショットがカップに直接入る“ダンクエース”だった。 これにはジョンソン君の2倍以上の体格を誇るジェイレイス君も大興奮。ダンクエースを決めた同級生を押し潰さんばかりに突進し抱き上げた。 「ホールインワンは初めてでした。いいショットでしたがピンに当たる音は聞こえたけれど入ったとは思わなかった。皆が駆け寄ってきてくれてホールインワンだったと気づきました」(ジョンソン君) 「完璧でした。彼を抱き上げるのはもう本能的な行動でした」とジェイレイス君。 父フィナウも「テレビの前で初エースを達成するなんて素晴らしい。夢が叶うとはこういうこと。賞賛に値します。彼がジェイライスのパートナーだなんて本当に素晴らしい」と絶賛した。 ジェイソン君が達成したエースのシーンはこの日放送されたESPNのスポーツ中継で2番目に高い視聴率をマークした。将来彼がプロになったときにはこのシーンが思い出のワンショットとして紹介されるに違いない。 ちなみに優勝したのはユタではなくジョージアチームだった。 ※2024年10月14日20時44分、一部加筆修正しました。
川野美佳
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