調査でわかった「読書で得られる効果」 読み聞かせのコツを専門家が紹介
【読み聞かせ期終了後】 安藤さん:読み聞かせをする時期(6歳以降くらい)がすぎたら、いつでも本にアクセスできる環境や、本に親しめる環境を準備してあげられるといいですね。我が家では、家族で書店に行って「30分後にレジ集合!」といって各自思い思いに本を眺めたりしていました。書籍だろうが、マンガだろうが、ゲームの攻略本だろうが、子どもが欲しいと持ってきた本はなるべく買ってあげていましたね。 また、私の本や妻の本など家には図書館並みに本があったので「気になるものがあれば、好きに持っていっていいよ」というスタンスをとっていました。大きくなると、どうしてもスマホやゲームなど本以外への興味も大きくなるものです。だからといって「本を読みなさい」と強要はしていませんでしたが、本にアクセスできる環境はしっかり準備していました。
読み聞かせが苦手な場合はどうしたらいい?
安藤さん:「読み聞かせをしなきゃ」との義務感から、読み聞かせをしているものの苦手意識が大きい保護者のかたもいらっしゃいますよね。私が講演に行く際にも、そういった相談を受けることが少なくありません。 義務感からの読み聞かせって、子どもにもバレるんです。なぜなら、保護者のかたが全然楽しそうではないから。そのため、読み聞かせが苦手という保護者のかたには「絵本でなくてもいいので、自分の興味があるものを読んでみたら?」とアドバイスしています。「車が好きなら、車のカタログでもいいよ」と言っているほどです。 絵本は、知識や勉強のために読むものではありません。絵本をとおしたコミュニケーションで、感性や自由な発想や、豊かな感情を刺激するものです。絵本の内容を伝えなければと思うのでなく、絵本をツールにコミュニケーションを取ろうと思えば、苦手意識も変わっていくのではないでしょうか。
まとめ & 実践 TIPS
小さいころから読書習慣を身に付けることは、自信や社会への関心、将来の目標設定、成績などにプラスの相関があるということが見えてきました。そして、読書習慣の形成には、保護者のかたの関わりが大きいもの。まずは、一緒に楽しい時間を過ごすというスタンスで「読み聞かせ」を行っていけるといいですね。 「楽しい」から得られるものは想像以上に多くあります。「この内容を伝えよう」と気負いすぎることなく、まずは絵本を通じた親子のコミュニケーションそのものを楽しんでみてはいかがでしょうか。 (出典) ※1 読書行動にかかわる分析結果 子どもの生活と学びに関する親子調査(東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所による共同調査)