学校に行くのは週1 前向きな不登校を選択したある親子の挑戦
学校教育法では「保護者は子を小学校に就学させる義務を負う」
信念に基づいて、絵里ちゃんをさまざまな手法で教育している佐別当夫妻だが、そもそも法律的には学校に行かせない、ということの位置づけはどうなっているのだろうか。 学校教育法では、「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う」と定められている。子供を小学校に行かせることは親の義務なのだ。 一方で、今年からは「教育機会確保法」という法律が新たに施行されている。教育機会確保法では「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにする」ことを基本理念としている。 今年の3月には文部科学省から自治体などに向け、以下のような通知が出されている。 「家庭で多くの時間を過ごしている不登校児童生徒についても、社会的自立に向かえるよう、家庭への学習等の支援を行うことや、当該学習等への社会的な理解の促進を図ることは重要である」 以前よりは、「学校以外の場で学ぶ」ということを選択しやすい環境にはなってきていると言えるだろう。
学校や教委との3ヶ月に及ぶ話し合いの末、今のスタイルに
しかし、学校から今のスタイルがすんなり認められることはなかった。 「入学式の翌日、うちの娘が学校に行かないといっているので、無理矢理行かせるのではなく、自宅で教える環境を用意してやっていきます、と話をしたが、すぐには認められなかった」(佐別当さん) 担任や副校長を交えて話し合いが始まった。 「娘が行きたいといったら、いつでも戻れるようにしたいので、『学校に籍だけ置かせてほしい。週1日や、行きたい科目だけでもいいなら通わせられる。柔軟な対応をしてほしい』と話をしたら、それは出来ないと言われた。学校としては毎日来るか、来ないかのどちらかじゃないと困りますと」(佐別当さん) 話し合いは平行線をたどり、3ヶ月経った。突破口を開いたのは、文部科学省に勤める友人から、学校だけではなく、教育委員会も含めて話すよう勧められたことだった。 「7月に、教育委員会の方に今話したような説明をしたら、佐別当さんのところは親がさぼっているのではなくて、家庭で教育環境をつくっているので、学校側が毎日来なさいというのではなく、1日でも行けるような環境をつくるなど柔軟に対応したほうがいいという話をしてくれて、それで2学期から体育だけ行かせてもらいますという話になり、受け入れてもらえた」(佐別当さん) 週に1回の体育だけの通学。絵里ちゃんはいじめられたりしないのだろうか。 「友達できたよ」と話す絵里ちゃん。楊さんも「クラスの子はすごく話しかけてくる。週1でも子供たちはすごく自然ですよ」と心配していないようだ。