学校に行くのは週1 前向きな不登校を選択したある親子の挑戦
年間30日以上学校を休んだ場合、文部科学省の定義では、おおむね「不登校」と判断される。しかし、東京都内に住む会社員の佐別当(さべっとう)隆志さん(40)の娘の絵里ちゃん(6)は、あえて小学校に通うのは週1日とし、それ以外は英語教室に通ったり、母親の指導を受けたりして学ぶ。背景には「画一的な学び」への抵抗感がある。 学校と学校外の学びを組み合わせた教育方法を佐別当さんは「ハイブリッドスクーリング」と呼び、一つの選択肢として普及を目指している。しかし、法的な課題も多い。ハイブリッドスクーリングの定着はあり得るか。現状を取材した。
シェアハウスに暮らし、多様な大人の中で育った娘「学校に行かせるより家で学んだほうが伸びる」
山手線のとある駅から徒歩圏内にある一軒家が佐別当さん一家の住みかだ。しかし、ただの家ではない。一家の居住空間以外に、シェアハウスの機能が備えられている。佐別当さんは会社員の傍ら、このシェアハウスのオーナーを務める。運営は台湾人の妻、楊麗●(ヨウリーシェン、38)さんの仕事だ。(●は王へんに旋) 家族以外の大人が日々出入りし、書道や演劇のワークショップなども自宅で開催してきた。一般的な家庭よりもにぎやかな環境で、絵里ちゃんはのびのびと育ち、人懐っこい、物怖じしない性格となった。「友達作るのなんて簡単だよ」。天真爛漫な笑顔は、いわゆる「学校に行くつらさを抱えて不登校となった子供」のイメージとは程遠い。 そんな絵里ちゃんを毎日小学校に通わせないことに決めたのは、佐別当さん夫妻の教育観によるところが大きいという。 「家で学校では学べないような体験をさせている。画一的に教えられるよりも、生活の延長で学んでいくほうが力を伸ばせるのではないか」(楊さん)、「学校に行かせるのが正しいんだろうかというのが疑問としてはあった」(佐別当さん) 絵里ちゃんからも入学前の学校説明会や入学式に行ったときに、「今までの教育スタイルのほうがいい、学校に行きたくない」という話があったという。 「そう言うんじゃないかな、と思っていた。娘が行きたくないなら、いろいろな学びの場や大人から学んでいく形を広げていこうと思った」(佐別当さん)