「不当な政治介入」日鉄会長 バイデン大統領を異例提訴 USスチール買収「禁止命令」
USスチール買収計画は、アメリカのバイデン大統領を相手取り、禁止命令の無効を求める前代未聞の法廷闘争に発展しました。日本製鉄の橋本英二会長は会見で「不当な政治介入だ」と怒りをあらわにしました。 【画像】日鉄会長、アメリカの競合メーカーCEOが不可解な労組連携「組合の強大な政治力を利用」
■「不当な政治介入」その背景には?
橋本会長がバイデン大統領を呼び捨てにする一幕も…。日本製鉄の会見は、終始、厳しい言葉であふれました。 橋本会長 「米国での事業遂行を決して諦めることはありません。諦める理由も、必要もない。私の考え方。日本製鉄・USスチール、一致した考え方」 日本企業による、アメリカ大統領を相手取った異例の訴訟。買収計画に対する禁止命令の無効を求めます。 バイデン大統領が買収禁止の根拠としたのは安全保障上の問題です。しかし橋本会長は次のように述べました。 橋本会長 「本当に安全保障上の問題があるのであれば、とっくの昔にバイデンはこれを承認しないと判断できた。大統領命令そのものが、不当な政治介入を背景に正しい手続きに基づいたものでない」 その背景についても、こう説明しました。 橋本会長 「米国参入を阻止したいUSスチールの競合メーカー『クリーブランド・クリフス』社、そのCEOが、不可解なことだが、全米鉄鋼労働組合の組合長と連携し、組合の強大な政治力を利用してバイデン大統領に働きかけた」 日本製鉄との買収競争に競り負けたアメリカの鉄鋼企業が、横やりを入れていると断言しました。
■日本の経済界「残念」の声
今回の買収計画について、日本製鉄は事業の拡大を、一方、経営難に直面するUSスチールは、雇用の確保や生産能力の強化などを期待できるとして、両社は相思相愛の関係です。 橋本会長 「買収による両社のパートナーシップがそれを解決する唯一の手段」 USスチールの地元、クレアトン市のラッタンジ市長も、今回の買収計画に賛成の立場です。 ラッタンジ市長 「製鉄所がなければクレアトン市は成り立たない。私たちは(トランプ氏に)書簡を送り、会談を求めます」 トランプ次期大統領に買収計画を認めるよう直訴するといいます。 日本の経済界からも、アメリカへの投資マインドを冷やしかねないとの声が上がっています。 経団連 次期会長 日本生命 筒井義信会長 「禁止命令については、一言残念ということにつきます。経済合理性には欠けている」 三井住友銀行 福留朗裕頭取 「アメリカの自由な資本市場を非常にリスペクトしていました。そういう意味で残念ですが、信じていますので」 しかし、トランプ氏は自身のSNSで改めて買収に否定的な考えを明らかにしています。 トランプ次期大統領のSNS 「USスチールは、関税によってはるかに収益力が高く価値ある企業になるのに、なぜ今、売却したいのか」 (「グッド!モーニング」2025年1月8日放送分より)
テレビ朝日