ダルビッシュの口論騒動を米メディアはどう伝えたか
世界は見ている
このことは当然、テキサスの地元メディアによって伝えられた。 以下に紹介するが、テキサスで良かった、という面はある。ニューヨークだったら、8月12日を最後に勝ちがない状況も含めて、面白おかしく、格好のネタにされていたに違いない。そう、テキサスメディアは、比較的冷静に報じていた。 There were a couple of times when Darvish appeared frustrated on the mound and cut short conversations with catcher A.J. Pierzynski and pitching coach Mike Maddux. これは「MLB.COM」。 「ダルビッシュはイライラしているように見え、ピアンジンスキーとマイク・マダックスとの会話を急に打ち切った」 Cut shortは、否定的にも取れるが、その後で、「話が終わったと思った」というダルビッシュの言葉も紹介して、フォローはしていた。 「スターテレグラム」紙はこう書いている。 Darvish also managed to have an animated mound meeting with Pierzynski, and Darvish walked away from pitching coach Mike Maddux during another mound visit. Pierzynski said he doesn’t pay attention those things, and Darvish claimed to have no communication issues with Pierzynski or Maddux. But some on the team had a different interpretation. 「ダルビッシュは、ピアンジンスキーとマウンド上で、激しいやり取りを行ない、マダックス投手コーチがきたときには、そこから離れた。 ピアジンスキーは、そんなことは覚えていないと言い、ダルビッシュは、ピアジンスキーとマダックスとは、なんの問題もないと言ったが、チームの他の何人かは、違う受け止め方をしていた」 誰がどう、違う受け止め方をしたのだろう。そこまでは触れていないが、少なくとも何かあることを匂わせている。 こちらは、「ESPN.COM Dallas」の記事。 He yelled at Pierzynski and even tried to wave him off as he approached the mound to try to settle the pitcher down after a leadoff walk in the second and some misfired pitches to the second hitter of the inning. Darvish walked away from pitching coach Mike Maddux near the end of his talk on the mound with the pitcher. 「彼は、ピアジンスキーに対して叫び、先頭打者を歩かせ、さらに二人目の打者にもストライクが入らず、投手を落ち着かせようとマウンドにやってきた彼に対し、戻れ、という仕草さえ見せた。ダルビッシュは、マウンドで話していたマイク・マダックス投手コーチからも、会話の最後の方で、離れていった」 記事ではその後、ダルビッシュがこのところ勝てないことを例に挙げながら、復調を促すような内容だが、ややトゲもあった。 もっとも、その記事も含め、全体的にはことを煽るような論調はなく、「技術的にも精神的にも安定していなかった。試合中にマウンドではいろいろある。単純に真っすぐがコントロールできず、それによってどんどん悪い方向へいった」というダルビッシュのコメントも紹介。言い分も載せている点で公平だったといえる。 ただ、理由がどうであれ、あのシーンだけを切り取ったとき、見ていた人にはどう映ったのか? 「世界が見ている」 アスレチックスの解説者が口にした言葉は大げさではあったが、誰が見ているか分からないんですよーーという意味を考えたとき、それは、強いメッセージにも聞こえた。 (文責・丹羽正善/米国在住スポーツライター)