2017年度東京都予算案 都税収入は6年ぶり減 一般会計は約7兆円
小池百合子東京都知事が8月に就任して約半年。初めて編成した2017年度都予算案が1月末に公表され、22日から始まる都議会で審議されます。都の予算は、一般会計・特別会計・公営企業会計の総額が新年度も13兆円を超え、その規模はスウェーデンの国家予算に匹敵するといわれています。そのうち、政策的経費にあたる一般会計の歳入は、前年度よりも0.8%の微減で、7兆円を割りました。背景には都の歳入の柱である都税収入が、わずかながら6年ぶりに減少したことなどがあります。 「2017年度東京都予算案の概要」を中心にみていきます 2017年度東京都予算案 5年ぶりに財政規模縮小「都民の納得」にこだわり
一般会計の歳入は前年度比570億円減、6兆9540億円
新年度予算案では、一般会計の歳入が6兆9540億円となりました。これは、前年度より570億円少なくなっています。 内訳でみると、最も大きな収入源である「都税」が3年連続で5兆円台を確保したものの、前年度比2.3%減で5兆911億円でした。 ほかには、国税として徴収された後、地方公共団体の財源として譲与される「地方譲与税」2346億円(同4.0%減)も前年度を下回っています。 一方、国から使途を特定されている「国庫支出金」3854億円(同2.0%増)、基金からの「繰入金」3807億円(同65.8%増)が前年度より増えました。 また都債の発行額は、前年度より15.6%減、額にして551億円少ない2983億円に抑えました(表1)。
景気変動に影響されやすい 法人2税を中心とした都税が収入の柱
小池知事は予算規模を説明する際、「歳入の約7割を占めます都税収入でありますが、企業収益の低下などによりまして、5兆911億円となりまして、6年ぶりのマイナスでございます」と述べています。(1月25日、予算案公表会見より) 都の財政は「地方税」である「都税」の収入割合が高く、例年歳入の大半を占めます。全国の都道府県の歳入構成をみると「地方税」収入は全体の34%にとどまっていますが(総務省「平成28年度地方財政白書」平成26年度決算より)、新年度予算案で「都税」は73%を占め、まさに歳入の柱となっています。 この大きな収入源により、都は地方公共団体の財政不均衡を是正することを目的に国から交付される「地方交付税」の制度がスタートした1954(昭和29)年から、都道府県単位では唯一、不交付団体の座を維持しています。 その「都税」の中身をみると、企業が納める「法人2税(法人住民税・法人事業税)」が約3分の1を占めています。今回の予算案では、この法人2税による収入が前年度より3.2%少ない588億円減ったことが、都税全体の額が前年度を下回る一因となりました。 そもそも都税は、いわゆるバブル景気が崩壊した1991~94年度の数年間で約1兆円減、リーマンショックの2008~09年度もたった1年で約1兆円減らし、回復には5年かかるなど、景気変動の影響をじかに受けやすいという不安定な側面があります(グラフ1)。そのため、都知事は税収の動向も見極めて、予算案編制に努める必要があります。