裏金問題立件見送…「力を持たない民が大きな変化を」元テレビ東京Pが『ジャンヌの裁き』に込めた思い
「一緒にやってもいいと玉木さんに言ってもらった上で、今どういうものが面白いかを一緒に考えていったことが大きかったかなと思います。 ドラマは主役がいないとどうしようもないので、そういう意味では主役が決まっているというのは、大きな企画が通る上での非常に大きなファクターになるんですよね。 だから、『主役さえ決まれば』という部分にみんな必死になるわけですけれど、そういう意味で玉木さんが決まっていて、どういう企画をやったら良いか一緒に考えていくというのは、よくある1つの手法なんです」 攻めた企画をやりたい、社会問題も忖度なしに描きたいという思いがあっても、圧力に負けてきたテレビマンは実は多数いるだろう。そう思うと、企画に賛同してくれる主演級の俳優との信頼関係を築けたら、チャレンジングな作品ももっと世に出すことができるのかもしれない。 ◆少女漫画家が主役の訳… ところで、シリアスな骨太社会派ドラマの良作はいろいろあるが、どうしても観る人を選ぶハードルの高さがあるのに対し、本作は身構えず、社会問題に興味のない人が入れる作りになっている。その理由には、主人公のキャラクターも影響しているようだ。 「検察審査官を調べていくと、いろんな事件を扱っていることがわかり、社内や玉木さん側に見せる企画書を書きました。その段階から主人公は少女漫画家と決めていたんです。 少女漫画家というやわらかなイメージの職業で、社会問題とは距離が少しありそうな、ファンタジーの世界を書いているような人が、リアルなドロドロした事件に巻き込まれていくギャップを出したいと思ったんですよね。 『何が悪で何が正義か』『正義とは何か』というのは、ドラマのもう1つのテーマでした。 正義というのは人によって違うし、立場が違えば全く相反するものになるかもしれない。そういう意味では、正義みたいなものをあまり考えないような人を主人公に据えて、正義について考えていく中で成長していく成長ドラマも描けるかなと思ったんです。 最初は編成などに『これ、新聞記者とかの方が良くないですか?』と言われたんですけどね(笑)」 実際、玉木宏は何かに巻き込まれていく役が本当に似合う。 「玉木さんは例えばNHKの『LIFE!~人生に捧げるコント~』とかに出ていると、トボけた役が凄くうまいんですね。『この人、絶対コメディーがうまいよ』と思っていたら、『極主夫道』でもイイ味を出していたじゃないですか。 だから、めっちゃ情けない役にしてみようと思って、提案したら『得意です』と言ってくださいました」