高級腕時計900本分、損害は20億円!? 被害者が明かす「私がトケマッチを利用した理由」
高級腕時計シェアリングサービス「トケマッチ」を運営していたネオリバース社が、突然、業務の終了と解散を発表してから3カ月あまりが経過した。 【写真】国際指名手配されているトケマッチの代表 同サービスは、所有者から預かった腕時計を第三者に貸出し、徴収したレンタル料の約半額を所有者に支払うという預託商法だった。ところが、受け取るべき預託使用料が支払われないどころか、貸し出した腕時計さえ返却されていないという被害を訴える所有者が続出したのだ。 警視庁捜査2課は3月、同社元代表の小湊敬済こと福原敬済容疑者と、元社員の永田大輔容疑者に対し、業務上横領容疑の逮捕状を取得。2人はすでにアラブ首長国連邦に向けて出国していたことから、国際指名手配している。全国の警察はこれまでに、計200件以上の被害届を受理されており、総額20億円相当の約900本が未返却となっている。 ただ当初、警察はこの事件を刑事事件として取り扱うことに難色を示していたという。大手紙の警視庁担当記者が明かす。 「預託使用料の未払いや『腕時計の返還要求に応じてくれない』といった被害相談は、昨年秋ごろにすでに全国の警察に寄せられていた。ところが警察は当初『民事上のトラブル』として不介入の立場を取り、被害届の受理や本格的な捜査に難色を示していた。 しかし、今年1月末にトケマッチの業務終了と運営会社の解散が一方的に発表されたことで、被害の訴えが全国で激増。さらに、業務終了の直前に『年末年始キャンペーン』と称して、腕時計の確保に地価を入れていたことや、預け入れた腕時計の一部を所有者に無断で売却していることなどから悪質性が認められたことなどから、全国の警察もようやく重い腰を上げたという経緯。 結果、全国の警察はこれまでに、総額20億円にのぼる約900本の腕時計の未返却について、200件以上の被害届を受理している」(警視庁担当記者) ■こんな美味しい話はない その届け出のうちの1件は、都内在住の太田慶太郎さん(仮名・49歳)が提出したものだ。太田さんが、トケマッチ事件に巻き込まれた経緯について明かす。 「新品で購入して1年ちょっと未使用のまま保管していたロレックスのエクスプローラーをトケマッチに預けたのが2023年5月のことです。トケマッチについてはネット記事で取り上げられていたことで知り、興味本位で『仮査定』をしたところ、時計を貸し出せば毎月1万4900円の預託使用料を受け取れることがわかりました。 しかも、紛失や破損の場合も全額保証される。こんな美味しい話はないと思い、すぐに本査定を経て預託を開始しました」(太田さん) その後、5ヶ月ほどは毎月末に預託使用料が太田さんの銀行口座に振り込まれていたという。しかし10月から振り込みが滞るようになる。