金融の自由を求めて──答えはステーブルコインではなく、ビットコイン
ステーブルコインに欠ける自由
この視点から、ステーブルコインの問題点が明らかになる。ステーブルコインは、システムが円滑に稼動する限り、こうした金融システムを利用することにほとんど障壁がないという点で、消極的自由を提供すると言えるかもしれない。しかし、共和的自由、つまり支配のない自由という点では落第だ。 問題は、ステーブルコインが中央集権的組織によって作られ、管理されていることだ。ステーブルコインの安定性とアクセシビリティは、そうした企業の決定に縛られている。誰かが干渉するまでは自由だ。しかし決定的に重要なことは、その自由は発行企業の意のままになるということだ。 私の母国トルコの最近の状況を見てみよう。国の銀行システムの危機とインフレの中、多くのトルコ国民が自分たちの富を守るためにステーブルコイン、特にトロン(Tron)上のUSDTを使っている。 一見、魅力的に感じられる。銀行を監督する政府に頼る代わりに、外国企業を信頼しているわけだ。しかし、ある観点からすると、これは良くない上司を別の上司に置き換えただけだ。 権力を握るのが政府であれ企業であれ、恣意的な権力という問題は残る。それが共和的自由の教訓だ。経済活動を支配するプロセスに大きな影響を与えることができないまま、外部からのコントロール下に置かれるかもしれない。 しかし、ビットコインは真に分散化された選択肢を提供し、非支配としての自由に近づけてくれる。ビットコインの分散型の性質は、ステーブルコインや伝統的金融の中央集権的構造に伴う支配を防ぐ。 各参加者はネットワークの決定に影響を与えることができ、恣意的な権力のリスクを減らし、より共和的自由観を育むことができる。 結論として、ステーブルコインは不安定な金融情勢における生命線のように見えるかもしれない。しかし、中央集権的発行者への本質的な依存は、非支配としての自由を損なう。 政府であれ企業であれ、主人を別の主人に置き換えるだけでは十分ではない。真の金融の独立は、鎖を交換することではなく、鎖をなくす、あるいはコントロールすることによってもたらされる。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Stefan Kostoski/Unsplash(CoinDeskが加工)|原文:In Search of Financial Freedom: The Answer Lies With Bitcoin, Not Stablecoins
CoinDesk Japan 編集部