あかちゃんが野菜を食べない、お箸はいつから?…無理をすると逆効果。自信のない子にしない「幼児食」の正解
【月齢別】食器の配置のポイント
人類は道具を使うことで、他の霊長類と違う進化の道を歩んできたといわれます。子どもも遊びや生活の中でいろんな道具に関心をもちます。その中でも子どもの心を引く食事の場面で、道具を自由に使えるようにしていってやることは大切です。 ここでは、1歳児の食器の配置のポイントをまとめました。 1)1歳になったばかりの子ども 食器に食べ物を入れてテーブルに載せても、食器から食べたり、テーブルに出して食べたりします。遠いヒトの祖先が大地に食べ物を置いて食べていたように、1歳児にとってはテーブルも食べ物を置く食器です。だから叱るのではなく、1歳児が食事するテーブルは食べ物を置いてもいいようにきれいにしておいてあげます。 2)1歳4ヵ月頃の子ども 器への出し入れが楽しくなってきます。この頃には器も複数個、子どもの前においてやります。すると、子どもはテーブルに出すだけでなく、1の器からとったものを2の器に入れたり、2の器からのものを1の器に入れたりし始めます。 3)1歳半頃の子ども 1の器を持ち上げて2に移し替えたり、2のものを1に移し替えたりするようにもなります。まるでいたずら遊びをしているかのように見えますが、子どもはこうしたことをとおして、次の2歳への発達の土台となる「~ではない、~だ」の世界を開いていっているのです。
偏食指導は無理をしないほうがいい
1歳になったばかりの子どもは、野菜でもご飯でも好き嫌いなく食べますが、ものを区別してとらえる力、「~ではない、~だ」が芽生え始めた1歳3ヵ月過ぎからは、次第に野菜などに手を出さなくなってきます。子どもの発達の証でもあるのです。 しかし、野菜をあまり食べなくなるので保育者の方は困ります。食卓には野菜から出したり、野菜を細かく刻んでご飯などに混ぜたりして工夫します。 大人より1~2度も体温が高く、活発に身体を動かして遊ぶようになった1~2歳児は、たくさんのカロリーを消費しています。この時期の子どもがカロリー源である炭水化物に手を出すのは、身体の要求でもあるのです。成長途上にある身体はタンパク質も要求します。 子どもが食事をとる量には個人差があります。一般的に、白筋といわれる筋ばった筋肉が優位な子はカロリーをよく消費し、赤筋といわれる柔らかい筋肉の優位な子は消費が少ないといわれます。それに、同じ子どもでもその日の運動量によって食欲は違います。食事以外の時間に甘いものを食べたりしても、食事の量は減ります。 ですから、子どもの身体の状態を配慮しないで、保育者が一定の量を食べさせることにこだわると、子どもは次第に食事嫌いになっていきます。また、偏食がある子の中には、特定のものに過敏に反応してしまう子もいます。どんなに細かく刻んでご飯などに混ぜても、それを除いてしまいます。それが滋養のあるものなら、保育者は気になります。子どもを励ましてうまく食べてくれるならいいのですが、食べさせようとすると、他のものまで食べなくなってしまうことがあります。そんなときは、無理をしないことです。
山口 平八