「毎日午後は探究」って実際何をするの?「シブヤ未来科」という渋谷区公立中の授業をのぞいてみた
東京都渋谷区の区立小中学校では、2024年度より探究学習「シブヤ未来科」が本格始動しました。午後の時間を丸ごと探究学習に充てるという大胆なカリキュラムは、広く注目を集めています。 シブヤ未来科のカリキュラムは、総合的な学習の時間を軸に、教科、特別活動、道徳、学校行事の一部も含み、教科横断の総合的な学びとして展開されています。 未来を生きるために必要な力を主体的な学びを通して身に付ける、というコンセプトにもとづき実際にどのような授業が行われているのか、渋谷区立渋谷本町学園を訪ねました。
◆K-POPダンストレーナーのインタビューから理想のチームを考える
1年生から9年生(中学3年生)まで9学年が同じ校舎で学ぶ、小中一貫教育校の渋谷区立渋谷本町学園。昼休みが終わると、午後は「シブヤ未来科」の時間です。見学したのは9年生の道徳の授業。 この日は「理想のチームを考える」をテーマに、オンラインプログラム「Inspire High(インスパイア・ハイ)」を使いながら、授業が行われていました。 インスパイア・ハイは、株式会社Inspire Highが開発・提供する10代向けのEdTechプログラムで、渋谷区の区立中学校ではシブヤ未来科をはじめさまざまなシーンで活用されています。なかでも、生徒たちの視野を広げ、気付きを促すきっかけとなっているのが「セッション」というプログラム。 生徒たちは、世界中で活躍するさまざまな大人たち(=ガイド)が、自分の生き方や価値観、取り組む社会課題や仕事などについて語るインタビュー動画「ガイドトーク」を視聴したうえで、自分の考えや経験を表現する「アウトプット」、生徒同士で意見をシェアする「フィードバック」、その回の学びを振り返る「リフレクション」に取り組みます。 セッションは1本約40分の番組になっており、科学者、宇宙飛行士、アーティスト、社会活動家、元兵士など50人あまりの多彩なガイドによるプログラムが用意されています。 9年生を担当する古谷香代子先生がこの日選んだのは、NiziUなどのダンス指導をしてきたK-POPダンストレーナーのチョ・セロムさんがガイドを務めるセッション。 翌月に控えた運動会を前に、「仲間と意見が合わないときや一丸となれないときにどう考え行動するか、チームワークや協働について考えるきっかけにしてほしいと考え、このセッションを選んだ」と言います。