3億円超のスーパーカーに乗った! 新型GMA T.50という異次元のクルマとは
傑出したエンジン
フランキッティがドライブするT.50に同乗したのは、アメリカ・サンフランシスコにほど近いモントレー周辺でのこと。太平洋岸まで山々が迫ったこのエリアは、道幅が狭く曲がりくねったワインディングロードが多い上、その路面はひどく荒れていているので、スーパースポーツカーのテストをするにはもっとも不向きな条件が揃っているといっても過言ではない。 けれども、そのツイスティーな山道で、フランキッティはT.50を思う存分振り回してみせたのである。全幅が2mに迫る最新のスーパースポーツカーでは、こうはいかなかっただろう。その点を私が指摘すると「その通り。さっきも言ったけれど、T.50のフットプリントはボクスターと変わらない。それでいて3人乗れて荷物まで積めるんだ」と、フランキッティは答えたのである。 T.50の扱いやすさはそれだけではない。なんと、車速が25km/hでも5速のまま走れる。そのときのエンジン回転数はわずか1000rpm。そこからスロットルペダルを踏み込めば、T.50はためらうことなくスムーズに加速していく。これも車重が1000kgを切る恩恵だが、いっぽうでこの自然吸気V12エンジンは、前述のとおり12,100rpmまで回るのだ! けれども、そのツイスティーな山道で、フランキッティはT.50を思う存分振り回してみせたのである。全幅が2mに迫る最新のスーパースポーツカーでは、こうはいかなかっただろう。その点を私が指摘すると「その通り。さっきも言ったけれど、T.50のフットプリントはボクスターと変わらない。それでいて3人乗れて荷物まで積めるんだ」と、フランキッティは答えたのである。 T.50の扱いやすさはそれだけではない。なんと、車速が25km/hでも5速のまま走れる。そのときのエンジン回転数はわずか1000rpm。そこからスロットルペダルを踏み込めば、T.50はためらうことなくスムーズに加速していく。これも車重が1000kgを切る恩恵だが、いっぽうでこの自然吸気V12エンジンは、前述のとおり12,100rpmまで回るのだ! そもそも公道を走れるロードカーで最高回転数が10,000rpmを越えること自体が驚異的で、最近の例でいえばアストンマーティン「ヴァルキリー」の11,100rpmとランボルギーニ「テメラリオ」の10,000rpmくらいしか思い当たらない。そこから、さらに1,000~2,100rpmも余分に回るのだから、まさに傑出した存在というしかない。 しかも、そのサウンドがたとえようもなく“スウィート”なのだ。雑味成分が一切ないうえ、倍音成分が美しく整えられたその音色は、まるでクラリネットのようでもあり、女性の叫び声のように聞こえなくもない。これと似たエンジン音といえば、やはり自然吸気式を採用していた1990年前後のF1エンジンがいちばん近いように思える。 「ルーフの上に設けたインダクションボックス内で美しくエンジン吸気音を共鳴させるため、インダクションボックスに用いるカーボンの厚みは慎重に検討されました」 私の斜め前方に腰掛けたフランキッティは、そんなエピソードを聞かせてくれた。 さらに、T.50は最低地上高を高めにとるとともに、スーパースポーツカーで一般的なチンスポイラー(車両前部の低い位置に取り付けられた空力パーツのこと)の形状が工夫されているため、大きな段差を乗り越えても“アゴ”を摺ることがない。このため、いまやスーパースポーツカーでは必需品となっているフロントリフト(油圧などでフロントの車高を一時的に高める装置)も不要となっている。