シタデル従業員、自社ファンド持ち分が4年で3倍-1兆3500億円に
(ブルームバーグ): シタデルの主力ヘッジファンドへの従業員の投資額が、ここ数年で急増している。同社が従業員の年間報酬の大きな部分にロックアップを課してファンド投資を義務付けていることと、ファンドの高いリターンが理由だ。
「シタデル・ウェリントン」ファンドの幹部および従業員の持ち分は昨年12月31日時点に20%と、2019年末の12%から急増していたことが、提出書類から分かった。ドル建てで換算すると、創業者のケン・グリフィン氏を含めた経営陣と社員の持ち分合計は同期間に3倍余りに増加し、約90億ドル(約1兆3500億円)に達した。
シタデルが投資の成功による利益をどのように分配し、それを生み出したポートフォリオマネジャーをいかにしてつなぎ留めているかを垣間見ることができる。
従業員持分の増加の多くは、年率換算で25.9%のリターンを達成したウェリントンのパフォーマンスによるものだ。その結果、シタデルのトレーダーやポートフォリオマネジャーへの報酬も増加したが、従業員らは利益目標を上回った分のインセンティブ報酬のほぼ半分を、3年半の間ファンドに投資することが求められる。
クライアント・パートナーグループの責任者、エド・オライリー氏は発表文で「シタデルの経営陣および従業員は30年以上にわたって自社ファンドに投資してきた。従業員と外部資本パートナーの利害が一致していることは、当社が永続的なフランチャイズの構築に全力を傾けていることを示す強力な証拠だ」とコメントした。
しかし、投資家にとってはマイナス面もある。幾つかのシタデルのファンドは、資本が多くなり過ぎると運用成績が低下するため、数十年にわたり毎年利益を投資家に還元してきた。クロール・ボンド・レーティング・エージェンシーの4月のリポートによると、2023年にはウェリントンから60億ドルを投資家に返還した。その結果、今年初めの同ファンド運用資産は448億ドルだった。