日本とフランスでこんなに違う「美意識」。夏は日やけを愛し、低めの声で話すのが知的に
フランス人の美意識は、外見だけでなく内面からにじみ出る雰囲気を重視します。シンプルな服でも、自然体でいることが美しさの基本。さらに、落ち着いた話し方も重要視されます。フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さんが、フランス人と交流して感じた、日本との美意識の違いについて紹介します。 【写真】太陽を愛するフランス人
フランス人の思う「美しい人」のイメージ
ファッションのセンスがよいと言われるフランス人。そのさりげないおしゃれについてはほかの記事でご紹介しましたが、おしゃれな服を着ているだけでは「美しい人」とは言えないでしょう。 フランス人は、内面からにじみ出る美しさが、外見の美しさを支えていると感じる人が多いようです。 その、フランス人の思う「美しい人」とそのイメージに近づく方法について考えてみました。
なにを着るかより「自然体」でいることが大事
以前、フランス人のおしゃれは遠くから見てわかるものではなく、近くで見て「おっ」と思わせるさりげないものと書いたことがあります。さりげなさを大切にするフランスですから、一目で「美しい!」と感嘆するような身体的に恵まれた彫刻のような人でなくても、その人が漂わせる雰囲気がすてきであれば、美しいと感じます。 シャネルを着ていても、白シャツとデニムでも、漂わせる雰囲気がすてきな人は自然体。服は似合っていればよく、その人が服に着られていなくて、自分自身でいること。 自分を偽っていたり、あざとさがあると、審美眼が発達している人々には見破られてしまいます。 ほかの人になろうとせず、自分自身をそのまま受け止めていること。それが自然体でいられる秘訣なのでしょう。
夏の日本女性の敵、太陽を愛するフランス
ある夏の日、日本旅行に来ていたフランス人がおびえた目で言いました。「今日、自転車に乗るダースベーターを見た」と。 それは紛れもなく、顔全体を覆う黒光りするサンバイザーをかけ、黒い手袋で二の腕まで覆った自転車に乗る人のことでした。 日本では日差しが気になる初夏くらいから日傘や例のサンバイザーなどが女性たちの必需品で白い肌を守っていることを説明すると、夏は日やけに徹する自分たちとの違いにとても驚いているようでした。 フランス(ほかのヨーロッパの国々でも)で、サマータイムになった頃から、時間があれば日向で顔を太陽に向けている人たちを見かけます。日やけは皮膚によくないなど様々な意見はありますが、冬の間に青白くなってしまった肌を早く健康的に見せたいと思うのでしょう。 昔、日に焼けているのは労働者の象徴で、夏の白い肌がフランスでも好まれていた時期もあるようですが、今は日に焼けた肌はバカンスに行ける余裕のある人と見られるそう。 しかし、それよりも、夏は日差しがあるからそれを享受しているだけ、という自然に逆らわない考えがあるように私は思います。ヨーロッパでは冬に太陽を恋しく思う時期が長いからかもしれません。