新電力会社が電気代の1%を地域共同基金に、暮らしの困りごとを解決へ
記事のポイント①新電力のハチドリ電力は地域共同基金「1% for Local」を始めた②第一弾は兵庫県・神鍋高原で、地域内の電気代の1%を地域活動などに充てる③取り組みを広げて地域ごとに特色あるサステナブルな街づくりを促進する
ボーダレス・ジャパン(福岡市)が運営する「ハチドリ電力」はこのほど、電気代の1%を地域活動やインフラ投資の財源に充てる「1% for Local」を始めた。第一弾は兵庫県豊岡市日高町神鍋高原で始めた。同社は取り組みを全国に広げることで、地域ごとに特色あるサステナブルな街づくりを促す。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
ハチドリ電力は自然エネルギー100%の電力小売り事業を展開しており、顧客は約1万人を数える。これまでに月の電気代の1%を社会活動を行う個人や団体を支援、もう1%を再エネ発電所の増設に充てる取り組みを行う。 このほど始めた「1% for Local」は地域の企業や個人が電気を自然エネルギーに変えることで、電気代の1%を地域内で新たな財源として活用できる仕組みだ。 約1700の地方自治体では、財源不足で暮らしに直結する支援活動が少ないことが課題となっている。今回の取り組みは自然エネルギーの利用を促すと同時に、電気代から地域共同基金に拠出し、地域の新たな財源として貯蓄していく仕組みだ。 神鍋高原は農業と観光業で発展を遂げた歴史を持つが、近年の温暖化による降雪量の減少や異常気象による農作物被害に直面する。こうした状況の中、持続可能な自然観光地域を目指して2023年に、「神鍋高原ゆきみらい100年宣言」を発表した。 同宣言では、観光関連の温室効果ガス排出量を2030年までに50%以上の削減、加えて2040年代のカーボンニュートラルを目指すとした。こうした脱炭素の取り組みが今回、ハチドリ電力と連携するきっかけとなった。 ハチドリ電力の池田将太代表は、「この基金を通じて、地域の人々と共に日本の未来を造る取り組みにしたいと思っている」とし、取り組みの全国的な拡大に意欲を示した。