プロの着こなし拝見! スタイリスト吉野 誠の秋冬スタイル【昼編】
確かにジャケットはテーラードスタイルゆえに、作業着とは思えない上品さがあります。それだけでなく白アイテムを随所に差し込んでおり、適度に清潔さも感じさせます。それにしても、そもそもこの装いはどういったシーンを意識したコーデなのでしょう? 「一応、昼のドライブデートを想定したコーディネートです。そのなかでも今回は、僕好みのかなり自由な着こなしゆえに、ご一緒する女子のタイプは少し選ぶ必要があるかもです(笑)。ただし、自分なりにはインナーに白いモックネックシャツを差し込み、足元もホワイトスニーカーを選ぶなど、ワークテイストに押しきられないようクリーンさをプラスしています。このモックネックのポイントは、小さく“GOLF”の文字が入っているところ。人によっては“ゴルフ、お好きなんですか?”などの会話が引きだせる一枚だと思っています(笑)。もちろんスタイリング的なアクセントとしても、下品すぎず丁度良いデザインと言えるものです」
確かに昨今はカジュアルスタイルにスポーツ要素を入れ込むのがひとつのトレンド。なかでもゴルフはリッチなアクティビティとして、広く認知を得ているもの。数あるロゴ・デザインにおいても、アッパーな部類と言えそうです。そしてゴルフと言えば、今回腰に巻いたニットウエアもゴルフ繋がりのアイテムだとか。
マルチカラーニットで視線を巧みに掴む!
「そうですね。こちらはゴルフウエアでお馴染みのマンシングとのコラボカーディガン。ちょっとレトロなマルチカラーストライプの一枚は、スタイリングのアクセント役として非常に効果的。腰に巻くだけでなく実際に着用しても、明るく洒落た雰囲気になるのです」 そして最後のシメのポイントとなるのが足元。確かにどこかで見たことがあるような、ないような一足です。これは果たしてどちらサマ……?
足元に迫力を生む“鮫歯ソール”に要注目
「はい、ご覧のとおりナイキのエア フォース1です。ただしソールを新たに加えています。ギンザ阪急メンズ館には“ギンザ スニーカー ヒルズ”という売り場があり、そこは持ち込みスニーカーに対するカスタムサービスを受け付けています。今回僕は、シャークソールというギザギザの厚底を選んで取り付けてみました。結果、見慣れているようでちょっと“気になる”一足に変貌。今回のようなセットアップスタイルは、上品にまとめすぎると、エッジ不足になりがちです。この一足を導入することで、存在感あるスタイリングに仕上がったと思います」 なるほど、テーラードスタイルでありながら、かしこまりすぎず、しかも気になるポイントも添えています。また、色使いに関してもクリーンかつアクの強いアクセントも装備済み。さすがは実力派の吉野さんです。“気楽で個性も備えたキレイめスタイル”は、確かに今季真似したくなるもの。 そして次回はそんな“気にさせ上手”なスタイリストの、色気溢れる夜コーデ編。ぜひぜひお楽しみに!
● 吉野 誠(スタイリスト)
1977年、千葉県生まれ。雑誌LEONをはじめ複数のメンズファッション誌やゴルフ誌、それに広告ビジュアルのスタイリングで活躍。ドレスやモード、それにカジュアルスタイルを取り混ぜた大人のスタイリング・テクは、業界でも評判。仲間とともに、ゴルフ系のアパレルブランド「ノンプロフェッショナルゴルフクラブ」設立に携わる。
写真/大森 直(TABLEROCK) 編集・文/長谷川 剛(Table Rock Script)