日産の名車「ダットサン」を学生らが7年かけ修復 日本の自動車産業を見直す「新たな気づき」も
長い時間ずっと回していたのですが、なんの予告もなく急にバッと火が入りまして、ガラガラガラとエンジンがかかった音が聞こえてきました。長く眠ってたエンジンが、『目覚めた!』っていう瞬間に、本当に鳥肌が立ちました」 修復が完了したダットサンはオープンキャンパスでも一般公開されました。 「本当に動くの?」と興味津々の車好きの方がとても多かったそうです。 復活したダットサンがキャンパス内を走行する映像も公開されています。 ■亡き夫の愛車を寄贈「主人もきっと喜んでる」 もともとこの車は、横浜市在住の田中紀久子さんの夫が所有していたものでした。 夫はクラシックカーのコレクターで、ダットサンを4台所有していましたが、夫が亡くなった後、田中さんは「どうしたものか」と困っていたそうです。 田中さんにお話をうかがいました。 ダットサン17型ロードスターを譲った田中紀久子さん: 「興味のある人だけには宝だけど、大きくて誰も乗らなくて、汚れてて場所を取るという、私のような者には何にもならないものでしたからね。 粗大ごみの日に、(別のごみを回収してもらおうとしていたのに)ダットサンを見て『これはレッカー車がないと捨てられないですよ、業者に頼んでください』って言われたことがあるくらい、もうボロくてサビだらけ。だから、寄贈することになったときには、『ああよかった』と思っていました」 レストアが完了した夫の愛車を見たときのことを、「感動した」と田中さんは振り返ります。 ダットサン17型ロードスターを譲った田中紀久子さん: 「出来上がったら、あんなにきれいになって。本当にあれはね、マイフェアレディですよ。あんな貴婦人に生まれ変わったんですからね」 「若い学生たちの経験や勉強の役に立つという新しい人生を、ダットサンに渡せたことがすごくうれしい」と語る田中さん。 生まれ変わったダットサンの写真を、夫の位牌の近くに飾っています。「主人もきっと喜んでいるわ」と、愛車の新しい門出に晴れやかな様子でした。