「多様性の尊重と個人のわがままの許容は、まったく別物」 バラバラの自己主張で終わらせず、組織の力に
部下のマネジメント、仕事の成果、重くなる責任……管理職になれば向き合う問題が次々と襲ってくるようになりますが、立場上なかなか相談しづらくなるのがつらいところ。 そんな管理職のみなさんが抱えるマネジメントの悩みに、人材育成、女性活躍、ダイバーシティ、組織開発、チームワークなどに長けた識者が回答する、「マネジメントカレッジ=マネカレ」です。
回答者 広江朋紀さん 株式会社リンクイベントプロデュース ファシリテーター 2002年リンクアンドモチベーション入社。HR領域のエキスパートとして、採用、育成、キャリア支援、風土改革に20年以上従事し、講師・ファシリテーターとして上場企業を中心に1万5000時間を超える研修やワークショップの登壇実績を持つ。著書に『場をつくる~チーム力を上げるリーダーの新しいカタチ~』(明日香出版社)、『問いかけて心をつかむ 「聞く」プレゼンの技術』 (翔泳社)、『図解入門ビジネス マネジメントに役立つ 心理的安全性がよくわかる本』(秀和システム)など。
今回の悩み
「多様性の大切さが叫ばれるようになり、社内にもさまざまな個性や経験を持つ人が入ってきました。しかし、その一方で多様性の『権利』を主張しすぎて、空気を読まずに自分の意見ばかり主張する人や、多様な働き方だと言って他の人に仕事を押し付けたり、怠けたりする人も出ています。それぞれを尊重しなければいけない一方で、こうした人たちをいったいどうしたらいいでしょうか?」
広江さんの回答
ご相談ありがとうございます。 組織運営にとって“多様性=ダイバーシティ”は重要ですが、「ダイバーシティ&インクルージョン」と いわれるように、 “インクルージョン=包括”の視点が欠かせません。その意味を含め、改めて考えてみましょう。
多様なままではなく目的に向かってチームとなる
多様性を重視するとは、個の持つさまざまな特性、価値観を認めるということです。それまでの組織にはなかった新しい価値観を認め、取り入れていくことですが、その方向性が、バラバラなままでは、組織としての力に束ねることはできません。 必要なのは“インクルージョン=包括”。組織の中にそのエネルギーを統合していかなければいけない部分もあるのです。 同じ組織・チームにいるからこそ、集団でしか実現や解決のできない共通の目的のもとに集っているはずです。 人が集まる集団として、「チーム」と「グループ」がありますが、この2つには違いがあります。