「多様性の尊重と個人のわがままの許容は、まったく別物」 バラバラの自己主張で終わらせず、組織の力に
実際にこれらをテーマごとに付箋に書き出して、チームで対話を行ったことがあります。 そこで出てきた言葉をベースにチームのパーパス(共通の目的)とバリュー(行動指針)をつくりました。 すると、その後にチームで何か悩んだり、選択肢 直面したりしたときに、対話で出てきたキーワードに戻って決めることができたり、新しくチームに人が加わったときにもチームの方針を言葉として伝えることが できたりするようになりました。
チームのミッションやバリューは半年に一度見直す
チームとしての共通の目的やその実現のための指針が明確化されると、組織としての「 OKゾーン」が明らかになります。 つまり、なんでも多様性をOKと受け入れるのではなく、共通の目的の実現のために受け入れられないことも示されることで、自分たちの力を注ぐべき焦点が明確になるのです。 リーダーとして、大切にしなければいけないまなざしは、「多様性の尊重≠わがままの許容」です。 なんでもかんでも受け入れるのではなく、組織の共通の目的に照らして、個人の意思を引き出したり、期待値を調整したりすることもリーダーの大切な仕事です。
これによって、ただ多様性を受け入れるというよりも全体の目的に照らしたうえでインクルージョン=包括ができ、強い組織となっていくのです。 そしてチームのミッションやバリューは、一度つくって完成ではなく、例えば、価値の提供先である顧客が変わったり、戦略的な商材が変わることで見直す必要も出てきます。 半年に一度くらい、改めてチームで見つめ直す機会をぜひ持ってください。新規入社者にも新たに考える参画機会になったり、チームとしても常に環境の変化に応じてアップデートできる手触り感のある指針になったりするはずです。 それによって多様な個性やスキルも、同じ方向に向けて生かしていくことができるのではないでしょうか。 構成・編集:岩辺みどり 写真:鈴木愛子 デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)