「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由
隠された裏メッセージ
記者クラブというムラ社会の中で、抜いた抜かれたと毎度おなじみの情報源、おなじみの相手と競争をしているうちに、日本の新聞は、週刊誌や個人の調査報道だけではなく、さらには政党機関紙にまで追い抜かれてしまったのだ。 これは百貨店も同様だ。新聞と同じく「社会に必要不可欠」と言われてきたが過剰供給気味なところ、SCやスーパー、アウトレット、ネット通販などに追い抜かされて斜陽産業となった。 若者にそっぽをむかれて高齢者のノスタルジーの対象となっているところや、ネットやSNS社会にうまく適応できていないところ、そして何よりもこれまで自分たちよりも「格」が下だとさげすんでいたプレーヤーから追い抜かされて存在感を失っているところなど、新聞と百貨店には共通点が多い。 人はどうしても同じような苦境の人に感情移入をしてしまうものだ。だから、新聞社はこんなにも百貨店を推すのではないか。 「百貨店閉店でにぎわいが消えた」というミスリードを、新聞が気に入ってやたら繰り返すのは、もしかして「ビジネスとして成立しなくても世の中の役に立つ産業を守りましょう」というメッセージを世間に広めたいからかもしれない。 新聞業界が「新聞の部数が減ったら言論の自由が消えてしまう」というキャンペーンを仕掛けて、「税金優遇」や「産業保護」を訴え出すのも時間の問題ではないか。 (窪田順生)
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