「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由
人口減少でも増えたSC
日本ショッピングセンター協会によれば、2023年のSCは3092店である。2018年には3220店だったのでかなり減少している印象を受けるかもしれないが、これは錯覚だ。日本のSCは人口減少が進行している中で、バカバカと建てすぎて完全に飽和状態だったのだ。 この連載でも繰り返し述べているが、日本の今の状況は半世紀以上前から予想できていた。しかし、それが目に見えるような形で分かってきたのは、少子高齢化という言葉が広く社会に浸透した1990年の「1.57ショック」(合計特殊出生率)を経た2000年以降だ。 このあたりから近い将来、日本は人口が急速に減っていくことを、政府もマスコも言い出した。歴史的にも文化的にも移民政策がそぐわない国なので、あらゆる市場がシュリンクすることは目に見えていた。 しかし、そこで奇妙なことが起きる。SCの出店ラッシュが起きるのだ。2003年には2611店だったものが、日本の総人口が減り始めるのと反比例するように出店が加速。2007年は2804店、2009年にはついに3000店を突破して、2016年には3211店にもなった。 さて、ここまで言えばもうお分かりだろう。日本は人口が急速に減っているのに、SCが異常なペースで増えてしまって、今も3000店と人口に見合わないほどある。しかも、大都市の中心部よりも郊外や地方都市に多い。 人口が減る中でこれほどSCが氾濫すれば、どこが客を奪われるのかは明白だ。実際、一畑が閉店した松江市で“にぎわいの拠点”はイオンモールなどのSCとなっている。 しかも、『南日本新聞』が「にぎわいと程遠い」とゴーストタウンのように報じた松江駅前からちょっと足を伸ばして、松江城のあたりまで行けばつい最近オープンして、地元の『山陰中央テレビ』が「にぎわいの拠点として期待」と報じた大型SCがある。 それは、「ナチュラルガーデン黒田」だ。